”いけばな”では「繰返すお稽古」がありますが、これは頭で覚えるのではなく身体に覚え込ませるということであり、消化して身につけることでその人らしさが自然に出るようになるという事なのです
目次
こんばんは。内藤正風です。
来年光風流は創流60周年を迎えます。来年って書いてますが、正確にはあと26日後には新年になりますので、もう1カ月もないんですけどね。(笑)
そんな中で、創流60周年記念事業の1つとして「記念出版」を行なうのですが、現在その出版する本に掲載するいけばな作品の写真撮影を行なっています。
この記念出版に”いけばな作品”を掲載してくださる皆さんは、それぞれにご自分が担当される作品のお稽古を積み重ねてから写真撮影の本番に臨まれているのですが、そんな様子を拝見しながら「レベルアップするために繰返す事で身につける事の大切さ」と言うことについていつも思うので、今日はそんな事について書きたいと思います。
”いけばな” では、なぜ繰返しお稽古をするのか
”いけばな” では色々なお稽古を繰り返し行います。1度だけお稽古してもう2度としないってお稽古は1つもありません。2度3度、、、ではなく何十回、何百回と繰返しお稽古をするモノもあります。
この繰り返すという事には「型」を学び覚えると言うことも要素としてはありますが、それ以上に大切なのは身体に覚え込ませると言うことなのです。
「身体に覚え込ませる」とどうなるかというと、必要な場面で意識せずに自分の中にある引き出しが開いて自然に出てくると共に、その場面その場面で自由に変化応用して活かす事が出来るようになるのです。
頭で覚えるというのは、百科辞典をカバンに入れて持ち歩いているようなものです
”知識”であろうと”技術”であろうと「頭で覚えた事柄」というのは、例えるならば百科事典をカバンに入れて持っているみたいなものなのです。
なので、「いま必要だ~!」ってなった時に、百科事典の目次を開いてどこに何が書いてあるかを探してもう一度読み返し、役立てるってことになります。
すなわち書いてある通りにしか生かす事が出来ないってことなんです。
こんな事では、一分一秒を争う場面でとっさに生かすのはまず不可能です。そしてもうひとつ付け加えるならば、いつもそこに書かれている通りにしか生かす事が出来ないという事でもあるのです。
身体に覚え込ませたものは、必要な場面になると自然に出てきます
しかし繰返しお稽古をして身につけたものは、頭ではなく”身体”で覚えていますから、必要な場面になったら自分の中にある引き出しが自然に開いて、必要な知識や技術が自然に溢れ出てくるようになります。
そのうえにこの時に出てきたものは自分の血肉となっていますから、「型」や「基本」というものに縛られずに自分なりに変化応用した形で出てきますので、その人ならではの特徴あるものになって出て来てくれるのです。
自転車に子供の頃に乗っていた人は、何年間か乗っていなくて久しぶりに乗っても自転車に乗る事が出来ますよね。これがすなわち身体で覚えているって事です。だって久しぶりに乗るときに「え~っと。。」って乗り方を思い出そうとしたりはしませんよね。(笑)
そして自転車に乗って走り始めたら、その人なりの乗り方になっていますよね。
”繰返す”とは”消化する”と言うこと
ようするに、自分の中に一度しっかりと入れて消化したものでなければ役には立たないのです。この消化をするために”いけばな”でもお稽古で何度も繰り返す必要があるということなのです。
自分の中に入れて消化され、血肉なってこそ初めて役立つし価値あるものになるのです。
だからこそ一度消化したものは時間が経っても忘れることは無いし、必要な時には自然に自分の中の引き出しが開いて出てくるのです。
「頭で覚える」と言うことと「身につける」という事の違い、ご理解いただけましたでしょうか。
きっとこれって”いけばな”だけの事ではなく、”ビジネス”や全ての世界でも同じことが言えるのではないでしょうか。
そんなことを思った、光風流本部いけばな教室でのお稽古日の1日でした。
内藤正風PROFILE
-
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
最新の投稿
- ・内藤正風の視点2024.11.21出来る方法探しの思考を基本とすれば、自分自身のテンションが上がるし人生も楽しくなりますよ
- ・内藤正風の視点2024.11.20人生を豊かにしてくれるのは「体験」であり、いけばなもお花を生ける事を通じてどの様な体験を提供させていただく事が出来るかという事が大切なのです
- いけばな作品2024.11.19心を込めて作り上げた ”いけばな展の作品” を「展覧会に行けないから後で写真で見せてね」と言われると、とても残念な気持ちになります
- いけばな展2024.11.18「兵庫県いけばな展(神戸会場)」は本日が最終日となります。つきましては閉場時間が早くなっていますのでご注意ください