光風流いけばな展の作品作りにおいて生徒さんにお伝えした、お客様にイメージが伝わりやすい ”いけばな作品” を作るには「絞」・「捨」・「誇」が不可欠だという事
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ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。
今日は朝から光風流本部いけばな教室のお稽古日です。10月に開催する「光風流いけばな展」の作品作りもいよいよ本格的になってきています。
そのような中で、今日お稽古にお越しになられていた方に、いけばな作品のイメージの作り方と作品作りという事についてお話をさせて頂きましたので、今日はそのことについてブログで取り上げたいと思います。
伝わりやすいイメージを作るには「絞・捨・誇」が必要です
いけばなは植物を用いた表現と言い換えることができます。そしてその手法には、古典的なモノ、現代的なモノ、自然的なモノ、造形的なモノと多岐にわたります。
そしてそのいずれの手法を用いて表現するにかかわらず大切な事があります。それはイメージをしっかりと持ち作品と向き合うという事です。
ちなみにイメージを形にするとか、いけばなで表現するという風に言いますが、これには不可欠なポイントがあります。それは「絞(こう)・捨(しゃ)・誇(こ)」です。
イメージ作りの第一歩は「絞」から始まる
まず「絞」とは、自分の持つイメージを ”絞り込む” という事です。
イメージというのはえてして漠然としている場合が多いので、自分のイメージをデッサンして表現することが出来るくらいに絞り込んでハッキリとさせることが必要になります。
たとえば ”鳥” をイメージした作品を作ろうとした時に、自分がイメージしている鳥はどんな感じなのか。例えば飛んでいるのか、たたずんでいるのか、歩いているのか、日本の鳥か南国の鳥かという風に自問自答しながら頭の中に思い浮かんでいるイメージを絞り込むことでハッキリさせるという事です。
「アレもしたい」「コレもしたい」では良いものになりません
そしてその次に行なうのは「捨」です。すなわち ”不要なものをそぎ落とす” という事です。
人はどうしても「アレもしたい」「コレもしたい」と思ってしまいますし、様々な要素を取り入れたいと思ってしまいがちです。しかしながら自分のしたい事を全て取り入れても良い作品にはなりません。
それは冷蔵庫に入っている素材を、あれもこれもそれも使いたいって思いつくもの全部入れてお料理しても美味しいものにはなりませんよね。どんなに高級な素材であっても、どんなに自分が好きな素材であっても、作りたい料理に必要か不要かを考え、素材や調味料を取捨選択して使うからこそ、おいしいお料理を生み出すことができるのです。
イメージを伝わりやすくするには「誇」が不可欠です
ここまで来たらあとは「誇」の作業に入ります。誇とはすなわち ”誇張する” という事です。
先の「捨」で要らないものをそぎ落とす作業をしたことによって、残ったものが強く働くようにはなっていますが、それだけではまだ足りません。それはなぜならば不要なものがないことによって目につきやすくなっている状態に過ぎないからです。
なので目につきやすくなったものを分かりやすくするためには、誇張させる事が不可欠になるのです。
いけばなの醍醐味は、基本から離れ自分なりのイメージを形にすることにこそあります
いけばなは「型」を学ぶと思われている人が多いですし、いけばなは決まりが多くて窮屈とか堅苦しいといイメージを持たれている人も多いです。
しかしいけばなの醍醐味は、基本から変化応用し、自分なりの世界観を表現することにこそあるのをご存じでしょうか。
「型」をなぜ学ぶのかというと、自分なりの創意工夫を加えて変化応用させるためであり、「型」は習得した後に いわゆる”破る” ことにこそ魅力や楽しみ、いうなれば一番の醍醐味があるのです。
今回の光風流いけばな展でも、作品を展示してくださる皆さんがどのように創意工夫や試行錯誤を行ない、そこから自分なりの逸品を作り出してくださるかが楽しみでなりません。
生みの苦しみという言葉がありますように、良い作品を生み出すために大いに苦しみ、その結果生み出すことが出来た自分の作品だからこそ、慈しんでいただくことが出来れば何よりうれしいことだと思います。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
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