春の雨を表現する言葉の多さから感じた、日本人の感性や情緒の豊かさと、世界に例を見ない日本文化の特徴

こんばんは。内藤正風です。

今日は1日雨でした。

雨の日は外に出かけるのが「なんぎだな~」と思ったり「鬱陶しいなぁ~」って思ったりしがちですが、日本人ってこの ”たかだか雨” を色々な情緒を感じる言葉で古来より表現してきています。

たとえば今の時期 ”春” に降る雨に関連する言葉で、私がすぐに思い浮かぶものだけでも4つあります。

春に降る雨を表現する言葉

春時雨(はるしぐれ)

”時雨(しぐれ)” は秋から冬にかけて降ったりやんだりする雨の事を言いますが、春にもこういう状態の雨が降ることがあり、春時雨と呼びます。

桜雨(さくらあめ)

桜雨とは、桜が咲く頃に降る雨のことを言います。

花散らしの雨(はなちらしのあめ)

花散らしの雨とは、桜が満開になった後に桜を散らしてしまう雨の事を言います。

春霖(しゅんりん)

春霖の「霖」という文字は長雨を表す漢字で、春の長雨の事を言う言葉です。

(春の雨を表す言葉は、たぶんもっと沢山あると思いますよ。)

世界でも稀な日本人の感性

こんな風に単なる春に降る雨も、「雨」で終わらせてしまうのではなく、その降り方や情景、情緒などに関連付けて色々な名称で表現しているって凄くないですか。

一つの事柄をここまで細分化して受け取る事が出来る感性と、その感じた事柄を表現することが出来る言語を持つ民族は日本人だけしかないと私は思うのです。

日本人の感性や情緒や多様なものを受け入れる柔軟性は、日本語でなければ表現できない

日本語には「漢字」と「平仮名」と「片仮名」があります。こんなにたくさんの種類の文字が存在している言葉なんて世界的にみても唯一無二の言語ですよね。

「漢字」は仏教伝来とともに日本に入ってきたと言われており、その文字自体に意味があり、伝わってきたときの読み方に基づく ”音読み” とその文字の意味を分かりやすくするための ”訓読み” があります。

そして同じ文字に読み方が複数あるってだけでも珍しいのに、この漢字以外に音を伝える文字として「平仮名」、外来語などを表現する文字として「片仮名」があることで、とても複雑な表現をすることが出来る言語になっているのです。

すなわち日本人のもつ繊細さは、これだけの文字を駆使しないと表現しきれないってことなんだと思います。

いけばなには日本人の心がつまっています

「いけばな」は仏教伝来とともに伝わった ”供花” が始まりだとされています。そして室町時代に確立され、安土桃山時代の桃山文化、江戸時代の寛永文化や元禄文化、明治の文明開化、大正ロマン、昭和レトロ、昭和モダンなどの、時代の流行の影響を受けながら今日まで歴史を積み重ねてきています。

いうなれば、日本人の持つ風流な感性や心が時代の最先端の中で磨かれ受け継がれてきたもの、それが「いけばな」であるということが出来るのです。

世界でも稀に見る日本文化を培った日本人の感性って特殊なものと思われる方もあるかもしれませんが、「いけばな」を学べば、貴方も簡単に身につけることが出来ますし、お家やお仕事ですぐに役立てて頂くことが出来ますよ。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。