「言葉は時代とともに絶えず動いて変化する」という言葉があるように、世のすべては時代とともに常に移り変わってゆくのです

こんばんは、内藤正風です。

今日は朝から光風流の会議を行ない、そのあと会議を行ない、続いて懇談会、そしてやまぐち整体院の施術を受けるという、まあまあ予定満載の1日でした。
けれど、今年の締めくくりに相応しい新しい事が実行されたり、来年に向けての様々な準備が進んだりして、凄く有意義な1日になったと思います。

日ごろ使わない言葉が、急に会話の中に出てきました

そんな中、今日お話ししている中で「えっ?」ってことが有りました。それは会話の中で私が言った「しおとろしい」って言葉です。
その場にいた皆さんの表情が何とも言えない表情になったので、「”しおとろしい”って言いませんか?」ってお聞きしたら、言葉は知っているけれど、自分は使わないって言われるのです。

私としては特別な言葉を使ったつもりはまるでなかったのですが、確かにそういわれてみると「しおとろしい」って言葉を使う事なんて近年無かったようにも思います。
なぜ急にその言葉が出てきて使ったのかはわかりませんが、すっと出てきたんですよね。

「しおとろしい」ってこんな時に使う言葉です

「しおとろしい」って言葉の意味は、予想外の値段でビックリしたときに使ったり、お金を払うのが勿体ないと思ったような時に使う言葉です。

例えばスーパーに買い物に行って日頃500円で買う事が出来るものが、値上がりなどで1000円になっている事が分かった時に「しおとろし~」って言ったりする感じだと思っていただければと思います。
なのでルイビトンのバッグが30万円って言われても、そもそも高額なのはわかっているので、そんな時にはこの言葉は使いません。

「しおとろしい」の言葉のニュアンス、なんとなくお分かりいただけましたでしょうか。

言葉は時代と共に絶えず動いて変化する

言葉は地域が違えば少しずつ違ってきます。たとえばこの「しおとろしい」も、お隣の市では「せおとろしい」というそうです。
そして言葉は時代と共に少しずつ変化してゆくものでもあります。例えば江戸時代と今とでは言葉もかなり違ってきていますよね。
これは言語学者であり国語学者の金田一春彦先生も「言葉は時代とともに絶えず動いて変化するもの」と常々仰られていましたし、日本語の乱れという事で取り上げられることの多い「ら抜き言葉」に関しても「ら抜き言葉はなくならないし、ら抜きに進んでいくのが自然な流れである」と言われていたように、自然な事なのだとも思います。

移り変わりは世の常

この様にして考えると、言葉だけではなく世の全てが時代と共に絶えず変化していっているという事が出来るのではないでしょうか。
例えば宮大工の技法は飛鳥時代から脈々と受け継がれてきています。これは新しい技術が開発されて進歩進化しながら今日があるのですから、飛鳥時代の宮大工の技法とは大きく変わってきています。

もちろん私たちが行っているいけばなも同じことが言えます。最初は仏教の公家から始まり公家や武家社会で発展し、そこから一般平民にも普及し、戦後の高度成長時代やバブルを経て現在に至っているのですから、その時代時代に求められる要素を取り入れながら、深みや厚みを加えてきたものという事が出来ます。

変わらなければならないところと、変わってはいけないところ

ただしここで大切なのは、変わって良い部分や変化してゆくべきものと、変化してはいけないものを見極めるという事だと思います。
本質や核と呼ばれる部分は変わってはいけない部分だと思います。しかしながら肉の部分は時代に応じて自由に変化してゆかなければ次代に、残してゆくことすらできなくなってしまいます。

いけばなには「基本」「変化」「応用」という考え方がありますが、「基本」は変えてはいけないものであり、変えてゆくべき部分として「変化」「応用」があるという実例ではないでしょうか。
「基本」は100年前も100年後も変わらず伝承されてゆくべきものであり、その「基本」を「時代」や「場」や「機会」や「材料」に応じて使いこなすのが「変化」「応用」だという事です。

変わってはいけないところと、変わらなければならないところ。そんな事を改めて考える機会になりました。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。