日本の神様って、実は ”尖ったものフェチ” だってご存知ですか。

こんばんは。内藤正風です。

今日は午前中の教室で”若松”を生けて頂きました。まだお正月までに2週間ほどあるのですが、教室によっては最後の開催になるところもあるので、そういう教室ではお正月のお花を生けて頂いています。

「若松」と言う植物はありません

このお正月のお花で使う”若松”と言うのは、植物の名前ではありません。
植物の種類で言うならば「クロマツ(黒松)」と言う種類になります。ではなぜ”若松”と言うかというと、その名の通り若い松だからです。(笑)
若松は畑にギューーッと密集して植えて3年程度育てられています。なぜ密集して作るかというと、密集させることで枝が横に伸びにくくなり真っ直ぐ上に伸びるので、のびやかな勢いのある樹姿になるということです。
ちなみに年末にお花屋さんでよく見かける松は、若松のほかに根引き松と言うものがありますが、こちらは植える間隔をあけて作られるので横枝が伸びていたり曲がった形になっていて、同じクロマツなのに若松とはマルッきり姿が違っているのです。

”めんまつ”とか”おんまつ”という植物もありません

年配の方が”めんまつ”とか”おんまつ”と呼ばれている事があります。”めんまつ”と言うのは”女松”という字を書き、”おんまつ”と言うのは”男松”と書きます。
女松はアカマツ(赤松)の事を、男松はクロマツ(黒松)のことをその様に呼ばれているのです。これはアカマツは樹姿が曲線を描いて女性的な風情を持っており、クロマツは勢いのある樹姿から男性的と感じられることがその所以であろうと思います。

お正月にはなぜ”松”を使うのか

ところでお正月にはなぜ門松を飾ったり松を取り合わせたお花を生けたりするかご存知ですか?
カッコいいからじゃないですよ~。

「松」は神様の依り代(よりしろ)なんです。”依り代”とは神霊がよりつく(依り)(憑く)対象物っていうことです。
「門松」は、自分のお家や家族、自分の会社やその従業員の皆さんを守ったり幸せを運んできてくれる年神様に来て頂くための目印として玄関の前に立てているのです。いうなれば目印、すなわちランドマークなんです。
お部屋に生けてある「松」が使われたお花は、部屋の中にある神様のおわす場所にあたり、座り心地の良いソファーや寝心地の良いベットになるのです。

神様は”尖ったものフェチ”なんです

じゃあなぜこの年神様の目印や依り代として「松」が使われるのかと言うと、神様は”尖ったものフェチ”なんです。嘘じゃないですよ(笑)(笑)

なぜ尖ったものが好きなのかというと、尖ったものはパワーを発揮しているからなのです。

たとえば顔の前に千枚通しや針のような尖ったものの先をこちらに向けてピッ!て出されたらどんな感じがしますか。なんか近くに持ってこられただけで、何かパワーを感じますよね。そういうのを強く感じる人は先端恐怖症と言われたりしちゃっているんです。

言うなれば鋭くとがった先って、それだけ力が集約された箇所であり、パワーが集まると共にパワーが噴出されている場所でもあるのです。

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こういうパワーを感じる尖った針のような葉っぱが無数についている「松」って、力の源そのものなんですね。こんなところ神様にとっては狂喜乱舞しちゃうほどの存在なんです。なので神様はパワーの化身ともいえるこの「松」を、目印や依り代にされているのです。

来年ご家族や会社が、幸せで実りが多く良い一年になる様にしたいと思われるのでしたら、ぜひ「門松」や「松の入ったお花」を飾られると良いと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。