活力と実力のある組織を育てるために、帝京大学ラグビー部から学んだこと

こんにちは。内藤正風です。

私ども光風流では、毎年この時期から次々年度のカレンダーに掲載するためのいけばな作品の写真撮影がスタートします。
え?来年のカレンダーじゃないの?って思われるでしょうが、来年のカレンダーに掲載するいけばな作品の写真撮影はすでに先日1年分終わっており、これから印刷にとりかかって、2か月後の10月には皆様のお手元に2019年のカレンダーが届くようになります。

光風流のカレンダーの特徴

さて、そんな光風流のカレンダーには特長があります。それは、、、、、
光風流で学ぶ皆さんに広く作品を掲載して頂いているという事です。

色々ないけばなの流派からカレンダーって発行されていますが、そう言う中で一般的に多いスタイルは、その流派の家元や幹部の方の作品が掲載される形です。そりゃそうですよね、流派のカレンダーなんですから。
けれど私ども光風流では、カレンダーに作品を掲載して頂く人は、幹部の先生と中堅の先生と若手の方と言う風に幅広く担当して頂くようにしています。
なぜこういう形にしているかというと、1人でも多くの方にこのカレンダーに興味を持っていただく事が出来るようにする為です。

人は自分に関係あることにしか興味が無い

人は自分に関係したり近いことにしか興味を持てません。
これはいけばなの作品も同じです。
自分が出会ったことも無い先生が生けられている作品写真と、自分がいつも一緒に机を並べてお稽古している仲間の作品写真とでしたら、どちらに興味が湧くでしょう。
言うまでもなく自分が知っている人の作品ですよね。

あるいは、幹部の先生が生けられている素敵な作品と、自分に近いお稽古の程度の人が生けられている素敵な作品とでは、どちらに親近感や興味を強く感じるでしょう。
幹部の先生の素敵な作品は、上手で当り前、素敵なのが当然って思っちゃいますが、自分に近いお稽古の経験の人の素敵な作品を見たら刺激になりますよね。

なので光風流では、幹部・中堅・若手の皆さんにカレンダーの作品を担当して頂いているのです。

目上の人を敬うのと先輩風を吹かすのとは、全く別のこと

こういう形にしている中で、ひとつだけ皆さんにお願いしている事があります。
それは、若手の人に先に自分がしたいと思う担当を決めて頂き、幹部の先生方には一番最後に担当を分担して頂くという事です。

世の中には「先輩が先に」という考え方が普通なのかもしれませんが、私ども光風流では「若手が先に」という考え方をしています。

その理由は、幹部の先生の方が経験豊富なうえに器なども沢山お持ちだからです。
若手という事は、経験も未熟ですし所有している器も数が限られているのが普通ですよね。なのでまず若手の人に自分がしたいと思うものを担当して頂き、後に残ったものを幹部の先生方に担当して頂くようにしているのです。

ラグビーの常勝校"帝京大学"では、雑用は4回生がしています

先日「マックスブログ塾 サマーキャンプ」の時に、学生時代に帝京大学のラグビー部でブイブイいわされていた”ジチョー”こと人見誠さんから、「帝京大学ラグビー部では雑用は4回生が行って1回生はラグビーだけに専念している」というお話を伺いました。

写真左から2人目が"ジチョー"

いや昔はそうじゃなかったんですよ。世の大学と同じく、4回生は神様、1回生は奴隷、というようなシステムだったそうです。
しかしそれでは、ラグビーの強豪校として常に一定以上のレベルを維持し結果を出し続ける強い組織であり続けることが出来ないので、現在のような4回生が雑用を行うという形に変更されたそうなんです。

このお話を聞きながら「そうだよなーー」って本当に思いました。
世の中には先輩と後輩は必ず存在します。そんな中で目上を敬い目下を可愛がるという長幼の序は絶対に必要な事だと思います。
しかしここで勘違いしてはいけないのは、先輩が偉そうにするというのは = 目上を敬うということとは違うという事です。

活力と実力のある組織を育てるために何が必要なのか

若い人は未熟で当然なのです。だからこそ知識や技術を育てるために多くの時間が必要になります。
逆に幹部の人は経験豊富なのです。だからこそ自分の事のほかに周りに目を配り、組織の中で自分に出来る事は何があるのか、今自分が果たすべき役割は何か、という高所に立ち全体を見渡す事が出来るのです。

私も光風流の若い人にドンドン新しい経験をしてもらい、その為のサポートを先輩が行うという形をしっかりと行い、今後に引き継いでゆきたいなと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。