習得までに時間が必要であればあるほど、希少性が高く価値あるスキルだと言うことが出来、いけばなは正にその1つだと思います

ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。

先日からネットフリックスで、「俺だけレベルアップな件」というアニメを見ています。一言で内容をいうならば、テレビゲームのRPG(ロールプレイングゲーム)のように、レベルが低い主人公が敵と戦い、敵を倒すことで経験値を得てどんどん成長し、これまで使えなかった技が使えるようになったり仲間を増やしながら、時間と労力を地道に掛けながら無限に成長してゆくというものです。

そんなアニメを見ながら、「時間を掛けなければ得る事が出来ないスキルは価値であると共に、そのレベルが向上すればするほど希少性が増し、なおさら価値が高くなるのは ”いけばな” と同じだなぁ」と思ったので、今日はそんなことについて書きたいと思います。

いけばなが出来るという事はそれだけで希少だという事

今から30年くらい前までの「いけばなブーム」と呼ばれていた時代には、いけばなが女性の花嫁修業の1つとされ、結婚前の女性は、ほぼすべての方がいけばなをお稽古されていました。
そういう時代には ”大半” というよりも ”すべての方” がいけばなを学ばれていたので、石を投げればいけばなの師範に当たると言ってもよいくらいの状態で、女性総いけばな師範と言っても差し支えの無い状態でした。
こういう中では、いけばなの師範やいけばなをお稽古されている方に希少性というものは全くありませんでした。

しかし現在のいけばなの状況は、いけばなに興味を持ち、自己成長やライフワークとして行ないたいという方がいけばな教室の門を叩くという状態にありますので、身の回りの人でいけばなをお稽古されている方は極めて少なく、ましてやいけばなの指導者の資格を持っている人となると、とても珍しい存在であり、現在におけるいけばなの技能(知識や技術)の希少性はとても高いものになっています。

いけばなの習得には時間(期間)が必要です

いけばなをなさっている方自体が少ない事による希少性というお話を前段で書きましたが、希少性をもっと高めている要因が実はもう1つあります。
それはいけばなの技能(知識や技術)を習得するためには、時間(期間)が必要だという事です。

いけばなのスキル、特に技術的な部分は、繰り返しお稽古を行なう事によって習得する要素がほぼ大半です。したがっていけばなの技能を身に付けようと思うとお稽古の回数を積み重ねる必要があります。
1週間に1回のお稽古ならば、100回のお稽古には約2年必要になります。月に2回のお稽古ならば100回になるには約4年間、月1回のお稽古ならば約8年間が必要という事です。

つまりいけばなを習得するためには、時間をかける必要があるという事なのです。

希少性の高いスキルは、そのスキルを活かして周囲の人を幸せにし社会貢献することが求められている

習得するために時間が必要なスキルであればあるほど希少性が高いという事が出来ますし、そのスキルは価値が高いという事が出来ます。
ちなみにこれはいけばなだけに限ったことではなく、世の中のお仕事全てに同じことが言えると思います。例えばお医者様になるには医学をシッカリと学ばなければなりません。弁護士や税理士などをはじめとする士業と呼ばれるようなものも、その職に就く為には人並み以上の時間をかけなければ必要とされるスキルを身に付ける事ができません。

そしてこのように希少性の高いスキルをお持ちの方は、世の中のためにそのスキルを生かさなければならない責任も伴っていると私は思うのです。
例えば医師の資格を持っている方が、その持っている資格をアクセサリーのように誇示するだけで、お医者様として活動や活躍しないような人たちばかりになったら世の中はどうなるでしょう。病人や怪我人に溢れてしまって大変な状況になってしまいますよね。
すなわち希少性のあるスキルを身に付けている人は、自分の身の回りの人のためにそのスキルを使って貢献しなければならない責任があると私は思うのです。

いけばなを学んでおられる皆さんには、自分が行なっている事の希少性と、その事柄の価値を再確認して頂き、自分の学んだいけばなのスキルをアクセサリーのように扱うのではなく、そのスキルを用いて周りの人たちを助けたり幸せにしていただきたいと痛切に願います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。