習得までに時間が必要なスキルであればあるほど希少性が高い価値となり、いけばなは正にその1つであると言う事が出来ます

こんにちは、そして、こんばんは、内藤正風です。

先週末の展覧会形式の勉強会を無事に終えて、今日の光風流本部いけばな教室のお稽古はのんびりと時間が過ぎていっていますが、その分先週に出来なかった事務や展覧会形式の勉強会の残務などで結構忙しい1日を送っています。

いけばなが出来るという事は希少性が高い存在であるという事

展覧会形式の勉強会を開催している時の控室で、いけばなの希少性と価値という事について話をしました。

今から30年くらい前までの「いけばなブーム」と呼ばれていた時代には、いけばなが女性の花嫁修業の1つとされ、結婚前の女性はほぼすべての方がいけばなをお稽古されていました。
そういう時代には”大半”というよりも”すべての方”がいけばなを学ばれていたので、石を投げればいけばなの師範に当たると言ってもよいくらいの状態で、女性総師範と言っても差し支えの無いような状態でした。
こういう中ではいけばなの師範やいけばなをお稽古されている方に希少性というものは全くありませんでした。

しかし現在のいけばなの状況は、いけばなに興味を持ち、自己成長やライフワークとして行ないたいという方がいけばな教室の門を叩くという状態にありますので、身の回りの人でいけばなをお稽古されている方は極めて少なく、ましてやいけばなの師範となるととても珍しい存在になっており、現在におけるいけばなの技能(知識や技術)の希少性はとても高いものになっています。

いけばなの習得には時間(期間)が必要です

いけばなをなさっている方自体が少ない事による希少性というお話を前段で書きましたが、希少性をもっと高めている要因が実はもう1つあります。
それはいけばなの技能(知識や技術)を習得するためには、時間(期間)が必要だという事です。

いけばなのスキル、特に技術的な部分は、繰り返しお稽古を行なう事によって習得する要素がほぼ大半です。したがっていけばなの技能を身に付けようと思うとお稽古の回数を積み重ねる必要があります。
1週間に1回のお稽古ならば、100回のお稽古には約2年必要になります。月に2回のお稽古ならば100回になるには約4年間、月1回のお稽古ならば約8年間です。
つまりいけばなを習得するためには時間をかける必要もあるという事なのです。

希少性の高いスキルは、そのスキルを活かして周囲の人を幸せにし社会貢献することが求められている

習得するために時間が必要なスキルであればあるほど希少性が高いという事が出来ますし、そのスキルは価値が高いという事が出来ると思います。
これは世の中のお仕事全てに同じことが言えると思います。例えばお医者様になるには医学をシッカリと学ばなければなりません。弁護士や税理士などをはじめとする士業と呼ばれるようなものも、その職に就く為には人並み以上の時間をかけなければ必要とされるスキルを身に付ける事はできません。

そしてこのように希少性の高いスキルは、世の中のために生かさなければならない責任も伴っていると私は思うのです。
例えば医師の資格を持っている方がその持っている資格をアクセサリーのように誇示するだけで、お医者様として活動や活躍しないような人たちばかりになったら世の中はどうなるでしょう。病人や怪我人に溢れてしまって大変な状況になってしまいますよね。
すなわち希少性のあるスキルを身に付けている人は、自分の身の回りの人のためにそのスキルを使って貢献しなければならない責任があると私は思うのです。

いけばなを学んでおられる皆さんには、自分が行っている事の希少性とその価値を再確認して頂き、自分の学んだいけばなのスキルをアクセサリーのように扱うのではなく、そのスキルを用いて周りの人たちを助けたり幸せにしていただきたいと痛切に願うばかりです。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。