弦楽五重奏といけばなのコラボを見ながら思った、生だからこその価値と記録だからこその価値

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

今日は午後から、兵庫県加東市にあるコスミックホールで私ども光風流の支部が主催して開催している「光風流いけばな展」に伺ってきました。
沢山の方がご来場くださり大賑わいの様子を見て、いけばな展に作品展示している皆さんやいけばな展を企画運営している役員各位の苦労が報われてよかったなぁ~と安堵いたしました。

この度のいけばな展ではコラボ企画として、NHK交響楽団特別コンサートマスターの篠崎史郎さんとゆかいな仲間たちによるニューイヤーコンサートが開催され、弦楽五重奏と光風流のいけばなデモンストレーションなどもあり、こちらもとても盛況でした。

そんな中ふと思ったんです。いけばなも音楽も作品が後に残らない存在ですが、だからこそライブと記録の違いは天と地ほどの差があるよなぁと。

いけばな展の作品を写真や動画で撮影したものは、作品ではなく記録になります

いけばな展の時にお越しくださった方を見ていると、気に入った作品を写真に撮られている方をよく見受けます。そんな風にしていけばなを楽しんでくださっているのは嬉しい限りなんですが、このいけばな展の作品って写真に撮影した時点で別物になっているってご存じでしょうか。簡単に言うならば、ライブと記録の違いです。

いけばなの作品は植物を用いて作られています。なのでその種類によって素材感が全く違っています。ツルツルした感じ、固い感じ、繊毛が生えている感じ、一つ一つにそれぞれの素材感があります。加えて植物には匂いがあります。
ほかにも大きな作品が持つ見上げるような迫力や、小さな作品が持つ愛らしさなどもあります。
そういう素材感や匂いや迫力というものは、写真や動画という記録になった時点で、感じることが出来なくなってしまうのです。

つまりいけばなは写真や動画にした時点で、単なる記録になってしまうという事なのです。

お花の一瞬の表情を抜き出したのが”いけばな作品写真”です

と、ここまで書くと、じゃあ写真や動画で撮影したいけばな作品は価値がないの?って思われた方、そんなことはありません。
自分が見に行ったいけばな展で気に入った作品を撮影した写真や動画は、思い出という心の記録にもなっており、その写真や動画を見返したときに「あ~この時は○○さんと一緒に行ったなぁ」とか「この作品良い匂いしていたな」という風に、写真を開くのと共に心のアルバムも開くので、単なる写真とか動画という存在ではなくなっているのです。

そしてもう一つ、写真で撮影した作品だからこそ備えることができる魅力と価値があります。それは印刷物などに掲載することを前提にして撮影されたものです。
いけばなは常に移り変わってゆきます。つぼみは半開になり、半開は満開になり、満開は散ってゆきます。しかし写真や動画で撮影することによってその一瞬を切り取り残すことができるようになります。
ここに使っている花は三分咲きが良い、その横は八分咲きで、下にある花は五分咲きが良い、なんてことも写真や動画では可能になるのです。

いけばなの楽しみ方は1つではなく、無限にあります

いけばなは、書や陶芸や絵画の様に作品が後々に残らないです。というか、今の一瞬は今しかない姿であり、常に移り変わってゆく存在です。
よく「いけばなは作品が後に残らないから残念だ」と言うお声を聴きますが、いけばなは唯一命あるものを素材とする存在であるからこそ、作品自体に時間の要素が含まれており、だからこそ作品自体が残らないことに価値があるのだと私は思います。

いけばなも音楽も、その時の作者や演奏者の体調や心のありようによって全く違う作品になります。それが良いとか悪いとかではなく、だからこそその人の人生が魅力的な人の作品は魅力的なものになるのだと思います。
今日の演奏をお聞きしデモンストレーションを拝見しながら、魅力的な作品を作ることができるように、もっともっと私自身が色んな経験をしないといけないなぁと思う時間になりました。

最後に、いけばな展は明日も10時から13時まで開催されていますので、よかったら兵庫県加東市のコスミックホールへお運びいただければ嬉しいです。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。