お正月に生けて飾ったお花は ”とんど焼” で燃やさずに、「おさがり」として生け直して飾ってください

こんにちは。内藤正風です。
今日はバスで移動しながらのブログアップです。

今日は4日で平日なので、仕事の人も多いと思っていたのですが、バスは補助席まで使って満席状態でした。やっぱりカレンダーに関係なく4日とか5日とかは民族大移動なんですね。

お正月のお花は「とんど焼き」の時に燃やさないでください

松の内が明けると、「お正月のお花は「とんど焼」の時に注連縄とかと一緒に燃やしましました」ってお話をよく聞きます。
お正月のお花に使われている”松”には、年神様の依り代としての役割があります。
なのでその意味でいうと、注連縄と一緒に燃やそうという発想も解ります。
しかし燃やさずに生かす方法があることをご存じでしょうか。

日本にある「おさがり」と言う考え方

日本には神前や仏前にお供えした供物や使用したものなどを頂く「おさがり」と言う考え方が有ります。
「おさがり」とはすなわち、神仏からの賜りものと言う事です。
これは食べ物とか飲物とかというものだけではなく、その祭礼に使用したもの全てにおいて「おさがり」と言う考え方で再利用をすることが出来るのです。

例えば一番大きなものでいえば、伊勢神宮で20年に1度、出雲大社で60年に1度行なわれている”式年遷宮”では、元々使われていた社殿は壊して捨てるのではなく、各地の神社などに移設して再利用されています。これも「おさがり」ですよね。
身近なところでいうならば、お家の仏様にお供えしたご飯などをお祀りした後に下げてきていただきますよね。これも「おさがり」の考え方なのです。

お花も「おさがり」として生かす事が出来ます

神仏に用いたものでまだ使えるものを処分するのではなく生かす考え方は、お花にも当てはめる事が出来ますので、「おさがり」として再利用することに何の問題もありません。

お正月が終わったら、飾られているお花に使われている ”水引” や ”奉書” などは外してあげましょう。この水引や奉書などは、”とんど焼き”の時に一緒に燃やしたら良いでしょう。
それからもし傷んだお花があるならば、そのお花を抜いて整えたり別のお花をプラスして飾って頂ければ良いと思います。
あるいは別の器に生けなおしたり、別の形に生け直したりするのも、楽しいと思います。

「おさがり」とは、命やモノを大切にする日本の良き考え方です

この時期はお花が長持ちしますので、綺麗なお花を燃やしちゃうって勿体ないですよね。お花も命が有る存在です。
せっかく綺麗に咲いているお花なのですから、そのお花を火にくべて燃やしてしまわず「おさがり」として生けなおして飾って頂き、お花の命を全うさせてあげることを私は周りの皆さんにお勧めしています。

日本人が古来より大切にしてきている「万物に精霊が宿る」という八百万(やおよろず)の考え方があります。
お正月が過ぎたからと言ってお花を捨てたり ”とんど焼” で燃やしてしまったりせずに、「おさがり」として再利用させていただき最後まで愛でてあげるという考え方は、日本人のもつ古き良き伝統ではないでしょうか。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。

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