いけばな展では、その作品を生けた作者のいけばなと向き合う姿勢を簡単に見抜く事が出来る方法があるのをご存じですか

こんにちは、内藤正風です。

今日は高島屋大阪店で開催している「日本いけばな芸術展」2日目になります。もちろん本日も朝の手直しから1日が始まっているのは言うまでもありません。

いけばな展では作品以外にも見どころがあります

いけばな展というと、生けられた作品を見て楽しむものだと思われている方が多いと思います。
ええ、間違いではありません。いけばな展ですから、いけばなの作品を見て楽しむのはまさしく大道です。

しかし違った見方をすることができるのをご存じでしょうか。
それは、「水」を見るのです。

実はいけばな作品に使われている器に入っている水を見ると、その作者の方のいけばなに取り組む姿勢が見えてくるのです。

植物にとって水は命を繋ぐ大切な存在です

植物にとって水は、生きてゆくうえで絶対に無くてはならない存在です。っていうか、水は動植物にとってなくてはならない大切なものです。人も食べ物だけでは水分が不足し、夏とかだと熱中症になってしまったりしますよね。
そんな水ですが、実は大きな特徴があります。それは「汲んだ瞬間から傷みはじめる」という事です。

古来からのことわざにも「流水傷まず」とあるように、動いている水は痛みません。
しかしながらコップに汲んだりお花の器に水を入れたら、その瞬間から溜まった水になりますので傷みはじめてしまうのです。
なのでいけばな展において毎朝の手直しでは、お花や葉モノや枝モノを生け替えるという作業以外に、水を入れ替えたり足したりする作業が不可欠になるのです。

水と向き合う姿は、その人の本質です

そんな水ですから、いけばな作品を生けた作者の水との向き合う姿勢は、その人のいけばなとの取組んでいる姿であると言っても過言ではないのです。

例えば、いけばなを長くされていて色々な知識や技術を習得されている方のいけばな作品は、優れていて当然ですよね。
しかしそういう方のいけばな作品が生けられている器に入っている水が、傷んで澱んでいたり、お花が水を吸って大きく減ったままになっていたりしたら如何でしょう。
なんか幻滅しちゃいますよね。
しかし逆にいけばなを始めてまだ間がない人が、お水にまで気を配り綺麗になさっていたら如何でしょう。あ~この方は凄く真摯にいけばなと向き合っておられるのだなぁって感じるのではないでしょうか。

言い方を変えれば、いけばなの上手下手以前の問題といえると思います。

いけばな展の楽しみ方を広げてみませんか

高価なブランド品を持っているのに、お部屋が整理整頓されていない人。見た目がかっこいい服を着ているけれど下着はヨレヨレの穴あきを着ている人。
こういう人を見たら、なんか信用できなくないですか。
それよりも、ブランド品は持っていないけれどお部屋がきれいに整理整頓されている人とかの方が、信頼できるのではないかと思うのです。

いけばな展では、いけばなの作品を見て楽しむのはもちろんですが、水替えをされて水が綺麗かどうか、あるいは水が減ったままになっていないかというような水の扱いも気にしながら見て頂くと、また違う楽しみ方が出来るのではないかと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。