素敵ないけばな作品を生み出すためにまず必要な「柔らかい思考」を身に付けるための簡単な方法をご紹介します

こんばんは、内藤正風です。

今日は終日、光風流本部いけばな教室でお稽古日でした。
今年の光風流いけばな展は12月に開催するのですが、そろそろその作品作りの準備が本格化してきています。

良い発想の第一歩は、思考を柔軟にする事

作品を作り上げるときには、イメージをすることから始まります。どんな構成にしたいのか、どんな素材を使いたいのか、どんな器を使いたいのか、イメージをする切り口は色々とあります。
そんな中で全てに共通する大切なポイントがあります。それは「思考を柔軟にする」という事です。

人の思考は必ず偏った考え方をしようとします。これは、人には得意な事と不得意な事、体験済みの事と未体験の事が有り、得意な事や体験済みの事を優先して思考しようとするからです。
なのでこの特性をまずは受け入れ、そうならないようにしようとする事が「思考を柔軟にする」第一歩だと言えると思います。

人の思考には「思い込み」や「決めつけ」が足かせになります

さてこの特性を受け入れた次にするべきなのは、自分の思考の指向性を確認するという作業です。
具体例があったほうが分かりやすいですので今回の光風流いけばな展を例に使いますと、今回のいけばな展では出展される皆さんそれぞれに素材の指定をさせて頂いています。線、塊、棒、箔、板、管というような感じです。
これらのワードを聞かれたら何となくイメージが浮かびますよね

それでは質問です。線と棒の違いは何でしょう。たぶん多くの方が「太さ」と答えられるのではないかと思います。
ではその線と棒の境目の太さは何mmですか?5mm?10mm?15mm?
仮に15mmだと仮定しましょう。
では太さ15mmで長さ3mのものは棒に見えるでしょうか。逆に太さ15mmで長さ15mmのものは棒に見えるでしょうか。
たぶん前者は線に見えて、後者は塊に感じるのではないかと思うのです。
この様に、人にはそれぞれに思い込んでいたり決めつけていたりする部分があり、それがその人の思考の指向性になっており、これが大きな足かせになってしまっているという事なのです。

思考は筋肉と同じで、使わなければ固くなります

指向性(思い込み)があるという事が分かったならば、次にその指向性をほぐしていってあげる作業に入ります。
ちなみにこれは簡単です。
先の例でいうならば、太さ5㎝の金属の棒がある。けれどその金属の棒が長さ5㎝ならば塊に見えますし、長さ5㎜しかなければ棒ではなく板に見えます。長さが0.5㎜しかなければ箔に見えます。

すなわちそれは太さが5㎝あるからではないという風に、自分で自らの指向の偏りを突いてゆけばいいのです。
思考で遊びながら、固まっている思考をほぐしてゆくという事です。

皆さん運動を始められる前には、準備運動やストレッチをされますよね。それは、身体が硬いまま急に動いても良いパフォーマンスを発揮できないし、悪くすれば怪我につながるからです。
思考も同じなのです。
いけばな作品をイメージしたり構想しようと思っても、脳みそが柔軟ではない状態(物理的ではなく思考的にですよ)では良いパフォーマンスを発揮することができません。
なのでイメージや構想を練ろうと思う時には、まず脳みそのストレッチ(思考的ストレッチ)から始める必要があります。すなわちそれが先に書いた、自分の思考の指向性をほぐす作業になるのです。

良い作品作りをしたかったら、自分の脳みそのストレッチから始めてみてはいかがでしょうか。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。