今年の光風流夏季セミナーの特別講師は、消滅寸前だった加西市吹奏楽団を団員80名超え組織に再生させた常任指揮者の中橋政博さんをお迎えします

こんにちは、内藤正風です。

今日は朝から雨の1日ですね。雨が降るとお稽古にお越しになられる方が少なくなっちゃうので、教室の合間にこんな風にしてブログを書いています。

今年の光風流夏季セミナーは、本質の大切さについて学んでいただきます

私ども光風流では、毎年7月に「夏季セミナー」を開催しています。
これは日本の伝統的な考え方として、暑い盛りや寒い盛りにあえて特別な研鑽を積むことによって精神的にも知識や技術的にも成長させようというものがあり、光風流でも夏には夏季セミナー、そして冬にはお題講習会という特別な研鑽の機会をもっています。

そんな夏季セミナーですが毎回テーマを設けて開催をしているのですが、今年の夏季セミナーは「様式には本質が宿る」というテーマのもと開催をいたします。

様式と聞くと「決まり」とか「面倒くさい」とか「難しい」という事をイメージされる方も多いかもしれません。確かに様式と呼ばれるものには一定の形や決まりごとがあるので、それを学んだり習得したりする必要があります。なので面倒くさいと言えば面倒くさいのですが、ここで多くの方が見逃していることがあるのにお気づきでしょうか。
それは、「様式が定められているという事には何かしらの理由があり、そしてそれは様式を通じて後世に伝承してゆきたい大切なもの、すなわち本質が内包されている」という事なのです。

自ら体現することによって本質を伝承してゆく

例えば小中高校では授業の最初に、「起立・礼・着席」というようにして挨拶をします。これも様式として定められているものですね。
そんな面倒くさいことしなくても授業を受けることが出来るやん!って思われる方もあるでしょう。確かに授業を受けるという1点だけを見れば、いちいち挨拶なんかしなくても良いかもしれません。
しかし授業の最初と最後に挨拶をすることによって、今から始まります。これで終わります。というケジメになり、気持ちやスイッチを切り替えるきっかけになると思います。
そしてどんなに仲の良い先生であっても授業に際して先生と生徒という関係性を改めてハッキリとさせたり、先生に対する敬意を持ちましょうという本質的な事柄を、体現することによって伝えている事でもあると思うのです。

吹奏楽という瞬間の芸術だからこそ、様式に内包された本質を大切にされている

今年の1月に、加西市吹奏楽団常任指揮者の中橋政博さんの講演会に伺う機会がありました。

講演自体は音楽をなさっている方に向けたものだったのですが、そのお話はそのまま”いけばな”のお稽古や教室運営、そして支部や流派の運営にも置き換える事が出来る様な内容ばかりだったので、私自身にとって改めて意識する機会にもなり、とても有意義な時間になりました。

お話を聞きながら、なぜ音楽といけばなという全く違う事柄をしているのに参考になる内容が沢山あるのか考えてみたのですが、ものすごく大きな共通点に気付いたのです。
それは、いけばなも音楽も瞬間の存在であとには残らないからこそ、様式に内包されている本質を大切にしているという共通点があったからなのです。

いけばなは失敗しながら学んでゆくもの

中橋さんのお話の中に、「失敗しても経験値は+1」というものがあり、これなどはまさにいけばなのお稽古にも通じる上に、私の持論そのもののお話でした。

私は、いけばなは失敗して学んでゆくものだと思っています。
一例をあげると、いけばなには”矯める(ためる)”という技術があります。矯めるとは正しく治すという意味の言葉で、形の悪い枝(葉、茎)を矯めて修正したり、枝(葉、茎)を矯めて希望の形を作りあげたりと、あらゆる場面でこの”矯める”という技術が必要になります。

そんな矯めるという技術なんですが、ある程度の慣れが必要になります。
お稽古を初めてまだ間が無く慣れていない人にとっては、最初は力加減が解らなくて枝を折ってしまったりします。逆に力が弱すぎると癖がつかずに伸びてしまいます。
意識を集中して枝の声を聴きながら矯めてゆくのですが、この力加減と言うのは数値に表したりする事が出来るものではなく経験によって身に付けてゆく必要があります。すなわち失敗をして覚えてゆくって事なのです。

いけばなも、人生も、お仕事も、失敗しながら学んでゆく

これって私達の日常も同じだと思います。生まれてすぐから人生の達人なんていません。仕事を始めてすぐからその仕事の達人なんて人もいません。
みんなコケたり頭を打ったりしながら経験を積みノウハウを身に着けてゆくのです。

失敗をしない様にって萎縮してしまっている人や、失敗するような事を避けている人がいますが、これって実は大きな間違いだと思うのです。とくに若い間はどんどん失敗をするべきだと私は思っています。
なぜならば失敗こそが人を大きく育ててくれるからなのです。

それに何より、成功ばっかりしている人の体験話しを聞いていても面白くないです。ってかしまいめには「自慢かーー」って腹立ってきますよね。
しかし失敗の話って聞いてムッチャ面白いですし、いくら聞いていても飽きないですよね。そしてその上、自分の失敗話を笑い話に出来たり普通に話す事が出来る人って、その人自体がとても魅力的に見えてくるんです。

消滅寸前だった加西市吹奏楽団を団員80名超え組織に再生させた経験に基づくお話は、他では聞くことが出来ません

今年の夏季セミナーの特別講座は、いけばなに取り組む姿勢や、支部の運営や教室の運営、お仕事と向き合う姿勢など多くの気付きや学びを得ていただく事が出来ると思います。

消滅寸前だった加西市吹奏楽団を地道に立て直し、今では80人近くの団員をようする楽団にまで育て上げ、これからまだまだ大きく成長させていこうとされている中橋政博さんのこれまでの経験談、そしてそういう経験に基づいた考えやアドバイスなど、こういう機会でなければ聞くことはできません。

演奏は加西市吹奏楽団の演奏会に行けばいくらでもお聞きいただく事が出来ます。しかしこういうお話はそうそうお聞きいただく事が出来るものではありません。

光風流夏季セミナーをお申し込みくださっている皆さんは、どうぞお楽しみになさってくださいね。
そしてまだお申込みいただいていない方は今からでも間に合いますので、お申し込みください。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。