依存心からは何も生まれません。自分でやってみようとすることこそが自分自身を育てることになりますし楽しみを大きくする秘訣になります

こんにちは、内藤正風です。

今日は(も)温かいですね~。昨日の日中に屋外にいると半そでで良いくらいでしたが、今日は本部いけばな教室で朝からお稽古をしていますが、暖房が全く必要ないくらいです。
このまま暖かくなってくれたら良いなぁとは思いますが、もう1回くらいは”寒の戻り”もあるだろうから、この暖かさに馴染んじゃったらあかんよ~って自分の身体に言い聞かせています。

いけばなの楽しみは自分でお花を生ける事

いけばなの楽しみには色々なものがありますが、その中でもライフワークとして長く楽しんで頂くためには絶対に外せない要素があります。
それは、「自分でお花を生ける事」です。

こんな風に書くと「そんなん言う間でもない事だし当然の事やん」って思われる方もあるでしょうが、ところがドッコイそうではない場面もあるののです。
たとえば一挙手一投足、常に先生に「どうしたらいいですか。。。」って聞く生徒さんや、生徒さんの作品にとにかく手を出したがる先生がおられるのです。

いけばなと聞くと「上手に生けるもの」という風に考えられている方がありますが、そもそもこれが大きな間違いなんです。
「上手」と「下手」どちらがいいですかと聞かれれば、上手なほうが良いですねと答える事が出来ます。しかしこれはいけばなを楽しむにあたって「上手」なほうが「下手」よりも優れており上位にあるという事を言っているわけではありません。
すなわち上手だからいけばなが楽しい、下手だからいけばなが楽しくないという事ではないという事です。

ではいけばなの楽しさとは何かというと、作品を自分で作り上げた満足感や、これまで未熟で出来なかったことがお稽古を重ねる事によって習得し出来るようになったときの達成感などのように、自分でお花を生ける事にこそあるのです。

生徒さんが自分で生ける事が出来るようになるために、私が教室で行なっている事

私がお稽古にお越しになられた生徒さんを指導させていただくときに一番最初に目標とするのは、自分でお花を生ける事が出来るようになっていただく事です。

初めてお稽古に来られた時には何もわからないのですから、私が生けたものを一旦抜いて自分で生けて頂くお稽古になります。しかしこの方法でのお稽古は最初の1回目だけで、2回目からはたとえ1本であっても良いのでご自分で生けて頂くようにします。
そしてそれ以降はご自分で生けて頂く割合を少しずつ増やしていって、自分で生ける事が出来る様になっていただきます。

この時には上手だからとか下手だからとかは全く関係ありません。とにかく自分で考えながら生ける事が出来る様になっていただきます。
もちろん「型」とかも学んでいただきますが、最初は分からなかったり出来なかったりするのが普通なんですから、うまく出来なくてもそれが普通なんです。お稽古の回数を重ねてゆく中でだんだんと出来る様になってくださったらそれでいいのです。
それよりも自分なりに考えながら、間違っても良いので生ける事が出来るようになっていただく事を大切にしています。

なぜいけばなを学ぶときに、自分でお花を生ける楽しみを知る事が大切なのか

たとえばいけばな展の時に、自分で一生懸命に生けた拙い作品と先生に生けてもらった上手な作品があったら、どちらに自分の作品として愛着を感じるでしょうか。これはいうまでもなく自分で生けた作品ですよね。
自分が愛着を持っている作品だからこそ毎日綺麗な状態でいてほしいと思うし、そのために必要な手直しなども一生懸命にしたくなってくるのだと思うのです。

いけばなの学びで大切なのは、技術や知識の上手下手以上にお花に向き合う姿勢や取り組む姿です。
そういうことを学ぼうと思ったら、自分の作品に愛着を持つことこそが一番の近道になるということなのです。

依存心からは何も得ることはできない

生徒さんの依存心が強くなってしまうかそうでないのかは、先生次第だと思います。
最初に書いたように、先生が必要以上に手を出しすぎると、依存心が強い生徒さんが産まれてしまいます。そしてその結果、生徒さんはいけばなの本当の楽しみを知らずに成長してしまう様になります。

そしていけばなの楽しさを知らないから長続きもできなくなってしまい、生徒さんは何も得ることができなくなっちゃうのです。

自分なりにいけばなの楽しさを見つけることができたり、満足感や達成感など感じていただくことこそが長く楽しむことができる様になる秘訣だと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。