”いけばな”と聞くと技術や知識に目が向きがちですが、光風流で学ばれている皆様にはいけばなを通じて人間的魅力に溢れた人になって欲しいと思います

おはようございます、内藤正風です。

この時期は台風が来ると一気に空気がその前と後で変わりますよね。っていうか台風っていうよりは「立秋」を過ぎたからってことなんでしょうが、今日も朝の清々しい空気感で気持ちよく目覚めました。

昨日はオンラインで ”いけばな” のお稽古をしました

昨日はオンラインでお稽古をしました。といってもコロナで教室を開催できないからではありません。距離が遠いからです。
私ども光風流中国支部の支部長の特錬を行なったのです。

コロナ禍に入って色々なことが変わりましたが、その中の1つに、オンラインでのお稽古が挙げられます。
これまでもスマホやパソコンはありましたし、ネット環境で画面を見ながら話をすることが出来る環境にはありましたので、画面を見ながらお話をしたりはしていましたが、お稽古をネット環境で行なうっていう意識には生徒さんも私もならなかったのです。
「お稽古=出会って行なう」って意識になっていたし思い込みでもあったのでしょうね。

しかしコロナで海外に出かけることが出来ない。いやそれ以前に、家から出掛けることが出来ないという状態が生まれたことによって、オンラインでのお稽古が選択肢に一気になったのです。
おかげでこれまでは中国支部は1年に1度訪中して集中講座を開催するのが通例でしたが、今では毎月定期的にお稽古を行なう様になっています。

先生の意識がお弟子さんにも自然に伝わってゆきます

私は「良い先生には良いお弟子さんが育つ」と思っています。日本には ”鳶が鷹を生む” ということわざもありますが、まずそんなことはほとんどありません。
その逆はありますけどね。素晴らしい先生なのに何であんなお弟子さんが。。。残念。。。。。ってパターンです。(笑)

いけばなのお稽古は、お花を生ける知識や技術を学ぶと思われがちですがそうではありません。では何を学んでいるのかというと、先生がいけばなに取り組まれている姿勢を学んでいるのです。

たとえば一番わかりやすいのは、いけばな展の時の手直しです。
いけばな展の時に、毎朝の手直しを大切にされている先生のお弟子さんは、ご自分の作品の手直しも大切にされる方が多いです。
しかし逆に、手直しをあまり重要に思われていない先生のお弟子さんは、手直しにお越しにすらならない方もおられます。
この作品の手直しっていうのは実は、その方のお花に対して取り組まれている姿勢がものすごくわかりやすく出るモノです。すなわちお花の上手下手以前の問題という事です。

作品を作り上げたご本人が、お花をの命のある存在として捉えているか否か。そして、自分の作品を作り上げるにあたって真剣に向き合い練習を積み重ね、心を込めて作品を作り、自分の子供といえるほどの情熱を注ぎこんでいるかどうかという事です。

お花と向き合う姿勢がしっかりとしていれば、そのお弟子さんは良い成長をされるのは間違いありませんし、お花と向き合う姿勢がチャランポランになっていると、いけばなが一番大切にしている本質を学ばずに済んでしまうという事なのです。
そしてこのお花と向き合う姿勢をお弟子さんに伝えているのは、先生の生きざまそのものなのです。

いけばなの技術と知識だけではなく、人間的魅力に溢れた人になって欲しい

いけばなのお稽古や作品作りをしていると、自分の思い通りの材料に出会う事なんてほとんどありません。しかしその花材を用いて調和を見い出し1つの作品としてゆきます。
そういう思い通りにならない経験をするからこそ、相手を思いやる気持ちにつながったり、そして自己が成長するからこそゆとりが生まれ相手を許すことが出来るようになったりするのだと思います。

人間は未熟で弱い生き物です。だからこそ助けてくださる方や励ましてくださる方、色んな事を教えてくださる方の力を借りて前に進んで行く事が出来るのです。
そういう経験を自分がしているからこそ、人にやさしくすることが出来るのでしょうし、その思考や行動が良い仲間や友達に結びつき、豊かな人生になってゆくのだと思います。

光風流でお稽古をされている皆様には、友達や仲間のために、まず自分から動き行動を起こせる人でいて欲しいです。
人のために陰になってサポートできる人になって欲しいです。

「いけばな」と聞くと、技術や知識ばかりに目がゆきがちです。
しかし本当に大切なのは、いけばなを通じて友達や仲間のために行動を起こせる人になる事や、人間的魅力に溢れた人になることだと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。