いけばなは難しい。けれど、だからこそ面白い |「出来ない」ではなく「まだ出来ない」から始まる上達

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

先日のお稽古の時に、「出来ない事が沢山あって難しい」という話を生徒さんが仰られていました。そういわれてみれば、確かにいけばなのお稽古では、型を学び、花の扱い方や枝の扱い方、花を留める方法、季節や花材についての知識など、覚えなければならないことが色々とあります。そう考えると、「いけばなって難しい」と思われるのも分かります。
でも私は、「難しいって悪い事ではない」と思うので、今日はそんな事について、検証しながらブログを書き進めてゆきたいと思います。

「難しい」と「出来ない」は違う

いけばなを始めたばかりの頃って、当然ですが分からないことだらけです。どの枝を使えばいいのか分からない。枝をどこで切ったらいいのか分からない。花をどこに入れたらいいのか分からない。そんな中、とにかく分からないなりにやってみても、色々なところが気になってくる。その結果、「難しい」と感じられるのだと思うのです。

でも、ここで一つ考えてみていただきたいのです。この感じておられる「難しい」っていう感覚は、「まだ出来ないだけ」って事だと思うのです。
いうなれば、初めて自転車に乗る人と同じなのです、最初から上手に乗れるわけではありません。何度も転んだりしながら、少しずつ乗れるようになる。いけばなのお稽古や上達も、それと同じなのです。

出来ないことがあるから、お稽古になる

お稽古というのは、出来ることを確認するために行なうものではありません。出来ないことがあるから、それを教えてもらう。教えてもらったら、やってみる。やってみたけれど、出来ない。なので、もう一度やってみる。そうやって繰り返す事によって少しずつ出来るようになっていくものです。だから、お稽古の時に「出来ない」ということは、決して悪いことでも恥ずかしい事でもないのです。

むしろ、出来ないことが見つかったということは、そこから先に進むためのキッカケや入口が見つかったということに他ならないのです。

いけばなは、簡単ではない。でも、だからこそ面白い

もちろんいけばなを何十年続けていても、「全部分かりました」ということにはなりません。私自身も、花を生けるたびに「これはどうしたらもっと良くなるんだろう」といつも考えながら作品と向き合っています。
花材が変われば違う。季節が変われば違う。同じ花でも、その日の状態によって違う。だから、いつも同じ答えになるわけではありません。そう考えると、いけばなは確かに簡単なものではありません。

でも私は、「簡単に出来ないから楽しくない」ということではないと思うのです。
分からないから考える。出来ないからやってみる。その繰り返しの中で、少しずつ自分に出来ることが増えていく。これこそが、いけばなの面白さに他ならないからです。

まだ出来ないから ”こそ” 面白い

私は、いけばなの奥義習得を「誰でも簡単に出来ますよ」と言うつもりはありません。だって、何かを身につけようと思ったら、それなりに時間も必要ですし、考えたり、試したりすることも必要です。
しかし「難しいから出来ない」と最初から決めてしまうのは、かなり早計だと思うし、勿体ないと思うのです。
だって、今出来ないことがあっても、それは「自分には出来ない」ということではなく、「まだ出来ない」というだけの事なのですから。

お稽古を通じて、出来なかったことがある日ふと出来るようになる。その時の「あっ、出来た」という感覚。試行錯誤の末に出来る様になった時の、達成感や満足感。私は、そこにこそ、いけばなの面白さがあると思うのです。
そしてこれって、テレビゲームと同じだと思うのです。ゲームが思うようにクリアできない。そんな中で試行錯誤を何度も何度も繰り返しながら上達し、その面をクリアできたときに得られる喜び。これ、ゲームが難しいからこそ得られるもので、ゲームが簡単すぎたら、誰もあんなに熱中したりしないのです。

なので私は、いけばなにおいて「出来ないことがある」ということは、いけばなを通じて得る事が出来る「楽しみ」が沢山あるという事に他ならないと思うのです。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。