見えないところで、花は支えられている | いけばなから学ぶ「支えてくれるもの」への気づき
ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。
今日は10月3日。10月には「神無月」という呼び方があります。日本中の神様が出雲に集まるので、出雲以外の地域では「神様がいない月」と言われ、出雲では反対に「神有月」と呼ばれる、という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
この話をしていると、「じゃあ出雲以外の日本中で、神様はいなくなっちゃっているのか」って思われた方もあるかと思いますが、ご安心ください。実は日本中の神様が出雲に集まっている間も、恵比須神や金毘羅神、竈神、道祖神という様な神様が、お留守番をしてくださっているので、全ての神様がそれぞれの地域から居なくなっちゃっているという事では無いのです。
そんな中、そういえば私たちの身の回りにおいても、こういう「見えないところで支えてくれているもの」が、案外たくさんあるよなぁと思ったので、今日はそんな事についてブログを書きたいと思います。
当たり前になっているものほど、気が付かない
いけばなを生ける為には、お花を留めるために器の中に、剣山や七宝や配り木と呼ばれる「花留」というものを使います。そしてこの花留ですが、無いとお花を固定する事すらできません。いけばなをするためには不可欠な存在です。なのにこんなに重要な存在でありながら、器の中でひっそりと、誰にも気にされずに存在しているのです。
こういう事って普段の生活の中でも、同じことが言えるなぁと思うのです。
家に帰ったら電気がついている。食事の時間になったら、何か食べ物が食卓に並んでいる。会議に出席すれば、机や書類が整えられて会議の準備が出来ている。こういうことって、普段は当たり前すぎて、いちいち意識しませんよね。でも、当たり前というのは、「誰も何もしていない」という意味ではないのです。
誰かが準備してくれている。誰かが手入れしてくれている。誰かが守ってくれている。そういうことが積み重なって、私たちは何気なく毎日を過ごすことが出来ているのです。
いけばなにも、見えないところがあります
いけばなでは先ほど挙げた例以外にも、まだまだ沢山あります。
1つの作品を作り上げるには、花材を育ててくださった人がいて、花を採る人がいて、それを運ぶ人がいて、販売する人がいる。そして、お稽古をするなら、教室を準備してくださる人がいて、花器や道具があって、水があって、いろんなものが整えられている。
私たちが1つの作品を目にして、「綺麗だなぁ」と思うまでにも、実はたくさんの人たちや業界が関わっているのです。
そう考えると、いけばなというのは、花だけを見ているようでいて、その向こう側や周りにあるものまで含めて意識をするべきだと思うのです。
見えないものに気付くと、日常が少し変わる
こんな風に書いていますが、私は「感謝しましょう」と言いたいわけではありません。
もちろん感謝することは大切です。でもそれより以前に、自分が今こうしていられるのは、「何に」「誰に」支えられているんだろうと考えてみることが大切なのではないかと思うのです。
そうすると、今まで何とも思っていなかったものが見えてきたり、少し違って見えてきたりするようになると思うのです。
いけばな作品を見て、「綺麗だなぁ」だけではなくなる。「この花はどこから来たんだろう」。「この器を作られた人はどんな人なんだろう」。
会合の会場に行ったら、「電気がついている」「机が並べられている」「お茶の準備が出来ている」。それって誰がしてくださったのだろう。
私は、こういう「見えないところに意識を向ける」ということも、いけばなをお稽古したからこそ気付くことが出来る様になる事だとも思うのです。
いけばなでは、花留は表からは見えません。
でも、その見えないところで花を支えているからこそ、花はその場所に立っていることが出来るのです。
人の暮らしも、ひょっとすると同じなのかもしれません。
普段は気にも留めていないものや、見えていない誰かの働きに支えられて、私たちは毎日を過ごしている。
そんな「見えないところ」に少し目を向けてみると、今まで当たり前だと思っていたものが、少し違って見えてくる。
そして、そんなところに気付くことが出来るのも、いけばなから学べることの一つなのだと思います。
内藤正風PROFILE

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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。




