いけばなを学ばれている方が成長してゆく4つのステップから見る、無意識と有意識そして出来る出来ないの関係

こんばんは、内藤正風です。

今日は終日、本部いけばな教室でお稽古だったのですが、その中で光風流の各支部の講習の指導に当たって頂いている家元講師の先生と話をしていて、いけばなを学ばれている方の成長におけるステップについてお話しする機会があったので、今日はその事について書きたいと思います。

ちなみにこの「いけばなを学ばれている方の成長におけるステップ」は、人間が成長するときに通過する過程でもありますので、今日のブログはそのまま日常生活やお仕事に置き換えて役立てて頂く事が出来るお話でもあります。

人間の行動は、無意識と有意識の2つしかない

人が行動を起こすキッカケは大きく分けると2つしかありません。それは「無意識」と「有意識」です。

「無意識」で行なっているものとは、例えば「歩く」という事です。
皆さんは歩かれるときに考えられていますか?
「え~っと、まずは右足を少し前に出して、それと同じくらいの歩幅で左足を出そう」。。。。。
こんなこと何も考えずに歩くことが出来ていますよね。
これが「無意識」で出来ている行動です。

では「有意識」で行なっているものですが、これは例えば「本を読む」という事です。
仕事で必要に迫られてとか、時間つぶしにとかって言う理由は別にして、「本を読もう」と思って本を買い手に取って読んでいますよね。
これが「有意識」の行動です。

いけばなの成長の過程には4つのステップがある

この「無意識」と「有意識」ですが、いけばなを学ばれている方の成長に大きく関わってきます。それはすなわち「無意識」で始まり「無意識」で終わるという事です。
すこし噛み砕いてお話をしましょう。

いけばなを学んで成長してゆく段階には4つのステップがあります。

ステップ1 ステップ2 ステップ3 ステップ4
意識 無意識 有意識 有意識 無意識
成果 出来ない 出来ない 出来る 出来る

 

必ず人は成長するときにはこのステップを通ります。

まず最初はステップ1から始まります。
すなわち「意識していないし出来ない」という段階です。
いけばなのお稽古でいうと、知らない知識や技術は意識すらすることは無いし、したがって当然ながら出来ないという段階です。

次に、「うわ~、あんなことが出来るようになりたいのでお稽古をしている。けれど出来るようにならない」という成長真っ只中の状態、これが「有意識・出来ない」というステップ2になります。

そしてこの段階の次にやってくるのが、自分で意識しながらお花を生けたら出来るようななったという段階です。これがステップ3で「有意識・出来る」になり、一般的には出来ると思われている状態です。

しかしじつはこの上にもう1ステップあるんです。それが「意識しなくても出来てしまう」という段階で、これこそが「身についた」という段階であり「マスターした」という状態になります。

ステップ2とステップ3には、ストレスがもれなく付いてくる

お分かりいただけましたでしょうか。ステップ2とステップ3は成長している段階なのです。
そしてこのステップ2とステップ3には共通点があります。それは「この段階にいる人には必ずストレスがある」という事です。

意識をしなければならないという事は、自分に負荷をかけている状態にあるわけですから、程度の大小は別にして必ずストレスが発生します。
とくにステップ2の段階は、意識して行なっているのに出来ない状態なのですから、かなりのストレスがかかっていると言えるでしょう。

最近ストレスと言うと悪者扱いをされています。
しかしいけばなの知識や技術を学び身につけようとしている段階において、ストレス無しでは成長することは出来ません。なぜならば人間が成長しようとするときには新しい挑戦がそこにはあり、新しい事に取組むという事は不慣れな事を行なうという事に他ならないのですから、そこには必ずストレスが共存しているという事なのです。
なので学びにおいてストレスを感じたら、「今俺は(私は)新しい事に取組んでるぞ~!!。成長しているからこそストレスを感じているんだ~~」って思ったらいいと思うのです。

「無意識で出来ている」こそが、マスターの証

何も考えず、何も意識していないのに出来ているという状態こそが、本当に自分自身のものになった状態だということが出来ます。
すなわち「無意識で出来ている」が、マスターの証なのです。

いけばなにおける成長は必ずこの4ステップを通ってゆくのですが、実はこれって人が成長するときには必ずこの段階を通ってゆく様になります。
よかったら、子供の成長、お仕事での自分の成長、部下の成長、いけばなでの成長、などなどこれに当てはめて参考にしてみてください。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。