”いけばな” でお花を生ける時に使う「七宝」という道具からの教えと学び

ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。

先日の光風流本部いけばな教室でのお稽古の折に、「人と人の信頼と、そこからの広がりや強さ」という事について、いけばなで使用する道具の1つである「七宝(しっぽう)」からの学びとしてお話させていただく機会があったので、今日はそんな事についてブログを書きたいと思います。

七宝とは

「七宝」とは、「いけばな」を生けるときに使用する道具の1つになります。そしてこの道具は、器ではなく「花留(はなどめ)」と呼ばれる、お花を生ける時に固定するための剣山などと同じ種類の道具になります。

様々な七宝

ところでこの「七宝」ですが、いけばなの花留として生み出された形という事ではなく、古来よりの意匠としてのデザインである「七宝柄(しっぽうがら)」を花留に用いたものになります。

ちなみに七宝柄がもつ意味は、円形が連鎖し繋がる事から、円満、調和、ご縁などの願いが込められた縁起の良い柄だと言われており、人の縁や繋がりは、仏教の教典に出てくる七種の宝である「金、銀、瑠璃(るり)、水晶、しゃこ貝、珊瑚、瑪瑙(めのう)」と同じ価値があると言うことを表している柄だともいわれています。

七宝柄は少しずつ重なっているから、無限に広がってゆく事が出来る

さてこの七宝柄は、いくらでもそのデザインとして広がってゆく事が出来ます。

正円によって構成されているこのデザインは無限に広がってゆくことが出来るのですが、なぜだかわかりますか。それは円周の4分の1ずつ重なっているからなのです。

円が完全に重なってしまうと、いくら重なっても1つの円にしかなりません。しかし4分の1ずづつ重なっているからこそ、1つの円から4方向に広がってゆくことが出来る様になるのであり、だからこそ広範囲に、そして無限に広がってゆく事が出来るという事なのです。

全く同じという事は、自然界には存在しない

私はこの、七宝柄の特徴である「4分の1ずづつ重なっている」という事が、この自然界の真理を表しているなぁと感じています。
それは、いけばなでは植物を素材に使いますが、同じ種類のお花や同じ種類の葉っぱであっても、全く同じ大きさや形のものはありません。同じ特徴を備えていても形や大きさはみんな違っています。

ちなみにこれは人間でも同じ事が言えます。同じ親から生まれた兄弟姉妹はよく似ています。がしかし、全く同じではないですよね。だって意見の相違があったりして兄弟喧嘩したりすることもあるのですから。似ているところが一部分にあるという事に他なりません。
夫婦もそうです。この人と一緒に歩んでゆきたいと思って一緒になってはいますが、全く同じだとか、全く同じでないといけないと思うから、しんどくなったり喧嘩になったりするんです。核となる部分は共有できていても、それ以外は違っているのが当然なのです。

つまりこの「七宝柄」の様に、4分の1だけ重なっているのと同じなのです。

4分の1 ”だけ” 重なっているから、広がってゆくと共に強固になることが出来るのです

と、この様に「4分の1だけ重なっている」というと、「4分の1しか重なっていない」と思われる方があるかもしれませんが、それは大きな間違いです。

「4分の1だけ重なっている」からこそ、1つの円から「4つの重なり」と「4つの広がり」を生み出すことが出来るのです。そしてその四つの円がそれぞれに、そこから3つの円の繋がりと、3つの円の広がりを生み出すことが出来、そのまた先でも繋がりと広がりが生まれ、多種多様な魅力や可能性が備わってゆくようになるのです。
そしてこの広がりによって、その繋がりはどんどん強固になってゆく事が出来る様になるのです。
そう、まさに七宝柄のようにです。

いけばなは古来より「華道」と呼ばれており、お花を生ける事を通じて、自己を見つめる機会としたり、人生やお仕事に役立つ気づきや学びを得る事が出来るものになります。
なにか難しい事をするのではなく、気軽にお花を生けながら、こういう事を学んだり気づいたりする事が出来るって、いけばなって凄いなぁと改めて思う機会になりました。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。