日本では6歳の6月6日より習い事を始めるのが良いとされており、その所以は世阿弥の風姿花伝と日本人の遊び心が大きく関わっているのです

ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。

明日から6月ですね。6月は ”いけばな” をしている者にとりまして、大切な月になります。それはいけばなに関連する記念日があるからです。

6月6日は「いけばなの日」

皆さんは、6月6日は「いけばなの日」と言う事をご存知でしょうか。

知らないですよね(笑)
ええ、まあそんなものです。祝祭日とか記念日とか、自分に何か直接関係のある日ならば覚えているでしょうが、いけばなをしている人でも知らない人が多いと思います。

結婚記念日や奥様やご主人の誕生日をウッカリ忘れちゃうこともあるくらいなのですから、6月6日が「いけばなの日」なんて知らないのが当然です。

なぜ6月6日が「いけばなの日」なのか

この「6月6日いけばなの日」と言うのは、古来よりお稽古事は6歳の6月6日から始めると上達するという故事にちなんだものです。
ちなみにこの6歳と言うのが記録として一番最初に残っているのが、猿楽の世阿弥(ぜあみ)が書いた「風姿花伝(ふうしかでん)」と言う600年以上前の本の中の、年来稽古條々(ねんらいけいこのじょうじょう)というくだりで、7歳くらいから始めるのが良いと言う風に書かれています。

あれ?7歳???って思われた方もおられると思いますが、この当時は数え年で年齢を言いましたので、現在の満年齢に置き換えると6歳になると言う事です。

いけばなの日が6月6日と定められた所以(ゆえん)

ちなみに6歳の6月6日と言うのは、風姿花伝が書かれた時から時代をかなり経て後になってから定められたものです。

これには諸説あるのですが、私が一番可能性が高いのではないかと思っている説は、昔から日本人は同じ数字を重ねるのが大好きですし、そのことに価値を感じていたので6月6日になったというものです。
なので皆さんがよくご存じの大きな節目である五節句も、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日のように同じ数字が重なっていますよね。

そしてもう一つ、これは私が正しいとか間違っているという視点ではなく、日本人っぽくて一番好きだなぁと思っている所以があります。それは、数を指折り数えると見えてくる所以なので、写真で見てみましょうか。

「1」

 

「2」

 

「3」

 

「4」

 

「5」

 

「6」

 

となって、「6」を数えると小指が立ちましたよね。

「小指が立つ」⇒「子が立つ」

ということで、縁起が良いと言われたそうです。(笑)
まあ、単なる言葉遊びの駄洒落やゲン担ぎなんですけど、日本の古来からのものにはこう言うものが本当に沢山ありますし、私はこういうの大好きなんです。

スポンジが水を吸うように、ただ単に吸収してゆく

ま、6歳の6月6日の所以はさておき、一つはっきりと言えるのは、子どもの頃から芸事やスポーツなどを行うと、理屈ではなく感性で学んでゆきますよね。まさしくスポンジが水を吸うように、ただ単に吸収してゆきます。この「スポンジが水を吸うように、ただ単に吸収してゆく」と言う事が、何よりも大切な事なのです。

芸事も芸術も音楽もスポーツも、全てはバランス感覚が重要です。理論も確かに必要でしょうが、芸事も芸術も音楽もスポーツも一番重要なのは感覚や感性というバランス感覚です。これは理屈で得られるものではありません。すなわち自転車に乗れる様になるのと同じなんです。
この一番重要なバランス感覚を、子どもの頃から触れ慣れ親しむことによって、遊び感覚で楽しみながら自然に身につける事が出来る。だからこそ、6歳という年齢が重要と言う事なんです。

これをお読みくださっている皆さんに6歳の人はいないと思いますが、今日より若い日は無いのです。全員、今日が一番若い日であり瞬間です。
年がいっているからとか理由をつけずに、とにかくチャレンジできるのは今なのです。

とにかくやる!!その先にこそ扉は開かれるのです。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。