同じ食べ物を季節によって違う名で呼ぶようになったのは、日本人の持つ ”粋” と ”遊び心” があるからこそだという事を、彼岸になるといつも感じます
目次
こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。
今日から「お彼岸(ひがん)」ですね。
今年の春の彼岸は、3月18日(土)が彼岸の入りで、3月21日(火)が彼岸の中日(春分の日)、そして3月24日(金)が彼岸の明けになります。
そしてお彼岸というと「ぼた餅」が思い浮かぶのですが、この牡丹餅ってホント日本人らしいなぁとお彼岸のたびに私は思うのです。
同じものなのに、なぜ「おはぎ」と「ぼた餅」と2種類の呼び名があるのか
お彼岸に欠かせないものの一つとして「ぼた餅」があります。
仏様にお供えするだけではなく、たま~~に食べると美味しいんですよね。
ところでこの「ぼた餅」と「おはぎ」って同じものなのに呼び名が違いますよね。
しかし同じ物なのになぜ呼び名が違うのか。。。。。
実はこれってムッチャ単純な事なんです。
それは日本人の粋を良しとする価値観と洒落っ気や遊び心が、その根底にあるのです。
「ぼた餅」は「牡丹餅」で、「おはぎ」は「御萩」
春の牡丹の花が咲くころに、牡丹の花に見立てて作られたので「牡丹みたいな餅」→「牡丹餅」→「ぼた餅」って名前で呼ばれているんですね。
いや~、ただの餡子餅を ”牡丹の花” に見立てるだなんて、日本人って ”粋” だな~って思います。
秋のお彼岸の頃になると”萩の花”があちらこちらで咲きますが、餡子の小豆餡の様子を萩の花に見立ててこの名前で呼ばれているのです。
ってことはですよ、「こし餡」を使うと「おはぎ」にならなくなっちゃうって事なんですね。
(笑)
ちなみにこの粒あんとこし餡にはちゃんと理由があって、小豆の収穫は夏に行なわれるので、収穫してすぐの秋に作るおはぎは小豆の皮が柔らかいので粒あんにして使い、一冬超した小豆を使うぼた餅は、小豆の皮がしっかりするのでこしあんにして使うという話もあるそうです。
いずれにしろ、同じ品物が季節で呼び名が変わるって粋ですよね。春は「ぼた餅(牡丹餅)」、秋は「おはぎ(御萩)」。
夏と冬の呼び名もある
ちなみに、「ぼた餅」も「おはぎ」も1年中売られていますよね。そうなんです!実は夏と冬の呼び方もあるのです。
夏には「夜船」と呼ばれるのですが、なぜ「夜船」というのか。。。
「ぼた餅」には”餅”と言う名前がついていますが、お餅の様に杵と臼でペッタンペッタンとつきません。ご飯を半分くらい潰すようにして塊りにして作ります。
なので作るときにペッタンペッタンと音がしないので、近所の人が「いつついたのかわからない」ということから→「つき知らず」→「着き知らず」となって、夜は暗くていつ船が着いたのかわからないと言う事になぞらえて「夜船」と言います。
ええ、駄洒落です。単なる言葉遊びです。(笑)
冬には「北窓」と呼ぶのですが、これは、夏と同じように作るときにペッタンペッタンと音がしない事から、近所の人が「いつついたかわからない」→「つき知らず」→「月知らず」となって、月を知らないと言うのは月が見えないと言う事から、月が見えないのは北側の窓と言う事で「北窓」と言うのです。
ええ、これも完璧なダジャレです。
日本人の本質は、洒落っ気や遊び心が、粋な名称に結びついたのです
駄洒落と言うか言葉遊びというか、単に餡子餅(あんこもち)とは言わずに、季節によって違う呼び名を名付ける洒落っ気は、日本人って「粋」だなと思いますし、私はこういう洒落っ気や遊び心を大切にする日本人に生まれてよかったなぁって思います。
日本人の洒落っ気&粋&遊び心、最高~~!!!
内藤正風PROFILE
-
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
最新の投稿
- ・内藤正風の視点2024.11.21出来る方法探しの思考を基本とすれば、自分自身のテンションが上がるし人生も楽しくなりますよ
- ・内藤正風の視点2024.11.20人生を豊かにしてくれるのは「体験」であり、いけばなもお花を生ける事を通じてどの様な体験を提供させていただく事が出来るかという事が大切なのです
- いけばな作品2024.11.19心を込めて作り上げた ”いけばな展の作品” を「展覧会に行けないから後で写真で見せてね」と言われると、とても残念な気持ちになります
- いけばな展2024.11.18「兵庫県いけばな展(神戸会場)」は本日が最終日となります。つきましては閉場時間が早くなっていますのでご注意ください