いけばな展には定点観測の側面もあり、この度の兵庫県いけばな展では緊急事態宣言後の変化に気付く機会になりました

こんにちは、内藤正風です。

先週から今週にかけて開催した「兵庫県いけばな展」が10月19日に無事に終わり、ホッとしていると共に、色々な気付きや学びがあったので、頭の中で整理をしています。
そんな中で今日は、コロナ禍で人々の求めるものが変わっているという事についてブログを書きます。

いけばな展=定点観測

いけばな展を開催しますと、基本は会場に終日いるようにしています。ただ大丸のいけばな展の様に1週間の会期になりますと、どうしても外せない仕事もあって会場を留守にしている時もありますけどね。

そんななか大丸神戸店でおこなっているいけばな展は毎年4月と10月に開催をしていますので、毎年同じくらいの時期に1週間会場にいるというのは、ある意味で定点観測しているようなものなんです。
たとえば20年前くらいまでは、夕方以降に会社帰りの方がたくさんお越しくださっていましたが、いまはそういう人の流れはありません。あるいは以前は土日に来場者が一番多かったのですが、近年では月曜日が一番多くなる傾向にあります。
こんな風に35年くらい前からずっと神戸の大丸で開催するいけばな展の会場にいると、人々の好みや行動がどんなふうに変化していっているのかがものすごくよくわかるのです。

コロナ禍で食の好みも変わってきている

百貨店などで催事を行なうフロアには食堂街などもあるのですが、この度のいけばな展では例年とは流行っている店とそうではない店に変化がありました。
昼食時にお店の前に出来る順番待ちの列が、例年ならばお寿司屋さんが一番長い列になり、てんぷら屋さんが一番短い列になっているのですが、この度のいけばな展ではこれが逆転していたのです。

毎日大丸でお昼の食事時の順番待ちを見ながら「なぜだろう・・」って考えていたのですが、これって緊急事態宣言中のお家での食事や家飲みの影響じゃないかと思うのです。
お寿司ってテイクアウトしやすい食べ物ですので、近くのお店で買って帰ったりウーバーイーツで取り寄せたりして、自粛期間中に皆さん結構口にされる機会が多かったと思うのです。しかし天婦羅ってテイクアウトしないですよね。だって天婦羅って揚げたてが美味しい食べ物ですし、お家で天婦羅って中々上手には揚げられないですから。

人の好みや求めるものは日々移り変わっている

大丸神戸店で4月に開催したいけばな展の時には、こんな変化を感じることはありませんでした。もしかしたら気付かない中で小さな変化は起こっていたのかもしれません。しか今回のいけばな展では明らかな変化がありましたし、これはこの半年間の間のコロナ禍や緊急事態宣言下による自粛によって起こった人々の心のありようや求めるモノの変化なのです。

もちろん”いけばな”は日常と無関係ではありません。
人の心のありようや求めるものによって生活スタイルや消費行動は変化します。これは住宅環境やお仕事の環境にも大きな影響を及ぼしますし、これらは全ていけばなと無関係ではありません。

コロナ以前とコロナ以降という表現がありますが、こんなにザックリとした考え方では世の移り変わりに対処することは不可能だと思います。
1年単位よりは半年単位、半年単位よりは3か月単位と、より小さな動きや変化を見逃さないようにしていくことこそが不可欠だと、改めて感じる機会になりました。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。