いけばなの写真撮影で感じた、人は色んな方の支えや協力があって生かされており、まさに「五行」からの学びそのものだという事

こんばんは、内藤正風です。
今日は朝から役員会、その後ランチ会議、そしてゴソゴソうだうだ後に夕刻から、私どもで発行しているいけばな雑誌「光風たより」に掲載するいけばな作品の写真撮影の立ち合いに行ってきました。

いけばなの作品撮影は、作品を生ける人と作品を撮影する人の息が合ってこそ良いものに仕上がります

写真を見て頂いたら分かるように、いけばな作品の写真撮影ってカメラで写真を撮影しているだけではないのです。

たとえば写真の背景ひとつとっても、その写真が講座のようなものの場合にはバックが主張せずにけれども花が綺麗に見えるグレーバックを選びますし、いけばな作品で季節や歳時などを表現する作品の場合には背景まで含めて1つの作品として作りあげてゆきますので、色々な背景の中から最適なものを選択してゆきます。

照明も、使っている花材や花形によって調整をしていかないと影が出てしまって綺麗にならなかったりします。しかしだからと言って照明を強く当てるだけでは明るくはなっても、立体感が感じられないのっぺりとした写りになってしまいます。

そして作品自体も、目で見た時とカメラのレンズを通して写った時とでは微妙に違いが出てしまいますので、写真で100%の仕上がりになるように調整をしなければなりません。

その意味でいうと、光風流で発行している印刷物やホームページに掲載しているいけばな作品の写真は、生け手と写し手が息を合わせて作りあげている共作だということが出来のです。

いけばなは1人で楽しむことが出来ますが、1人の力ではいけばなをすることが出来ません

そんな事を考えていて”ふと”思ったのです。そういえばそもそも「いけばな」ってみんなに支えられているんだよな~って。

お花を生ける行為自体は1人で出来ます。自分の好きなお花を、好きなように生けて、好きなところに飾って、好きなように楽しめばいいのですから。
しかし、この生けるための材料は農家が生産して下さり、飛行機やトラックなどをはじめとする運送業界の方が運んで下さり、卸売市場や小売業の皆さんの手を経て私たちの手元に届いています。
器ももちろんそうですし、飾っている建物ももちろんそうです。いけばなってみんなの力が合わさって出来上がっているのです。

みんな誰かに助けられ、お互いに影響を与えあっている

いけばなでは「五行」というものについて学ぶのですが、まさにそういう事だと思います。
五行とは、この地球上の存在するものを大きく分けると、木・火・土・金・水の5つに分類することが出来、このそれぞれがお互いに影響を与えあって時間を積み重ねているという古代中国から伝わってきている考え方です。

「木」の枝が風などでこすれあうと「火」が起こる。「火」によって燃えた後には灰、すなわち「土」が残る。「土」は長い時間の中で鉱脈、すなわち「金」が生まれる。「金」すなわち金属は温度の変化で「水」滴が生まれる。
そして「水」のある所では植物、すなわち「木」が生えるという感じです。

人間も誰かに助けられ、お互いに影響を与えあっています。そんな事を思えるようになると、人間は誰かに影響を与える存在であるのならば、たとえどんなに小さくてもいいので良い影響を与えることが出来る様になりたいよな~なんてことを思います。

とは言え、こんなことを思っている時点で私もまだまだ未熟だという事なんでしょうけどね。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。