錆びたハサミや汚れたハサミを使っていては、お花は長持ちしないですよ

こんばんは。内藤正風です。

今日は夕刻からいけばなの作品の下生けをしていました。
下生けと言うのは、料理で言う”下ごしらえ”みたいなものです。明日、神戸の大丸で「いけばな神戸展」の前期の生け込みがあるのですが、その作品の下準備を行ったのです。

私はいけばな展を機会に、研いだハサミをおろしています。

私はいけばな展の生け込みの時を機会にして、砥ぎに出していた鋏をおろして使うようにしています。

いけばな展の時って普段お稽古で使っている材料よりも太い目の材料が有ったりします。
そしていけばな展の会場って、普段お花を飾っているお家とか職場とかに比べると人の出入りが多く環境としてはあまりよくないので、水揚げがお花の日持ちに大きく関わってきます。
なので砥いだ鋏をおろして切れ味の良い鋏を使うようにしているのです。

ハサミによってお花の日持ちが、変わってきます

切れ味の悪いハサミ。汚れているハサミ。錆びたハサミ。これ全~~部、お花の為にはよくありません。アウトです!!

お花ってどこからお水を吸いますか?根元ですよね。根元の切り口ですよね。
なのでお花が元気な状態を維持するには、この根元の切り口がとても重要になるんです。

なぜ汚れたハサミや切れ味の悪いハサミは使ってはいけないのか

例えば刃が欠けたようなものや、切れ味の悪いハサミで根元を切ると、スパっと切れずに切り口が押しつぶされたようになったり、切り口の細胞がグジュグジュになっちゃいます。
お花の切り口っていうのは、いうなればストローと同じですので、ストローの先が潰れていたりしたら水が吸いにくいのと同じように、こんな状態では、十分に水を吸い上げる事が出来ません。

汚れてきたないハサミは、歯の部分が汚れているってことは細菌の巣窟になっているってことです。
と言う事は切った切り口に細菌をこすり付けているのと同じ事ですから、そんな状態で生けても、細菌ですぐにお花が弱っちゃうのです。

錆びたハサミなんてもうこれは切れ味悪いし細菌はもちろんモリモリいるわで、二重苦の状態です。ええ、問題外って事です!!

良いハサミがないときには、カッターで代用できます!

こうやって考えると、お花を生けて長持ちさせるためにはハサミって大切なんです。
おうちにあるハサミが切れ味悪い、汚れている、錆びているって人は、そのハサミ捨てちゃってください!!
で、代わりに、カッターを使ってください。ありますよねお家にカッター。
まずはカッターの刃の古いところを折って捨てて、新しいところで根元を斜めに切るようにしてください。

もし使われているハサミが五千円以上の品だったら捨てずに砥ぎに出して使ってください。(笑)
五千円以上くらいの品でしたら鋼(はがね)もそれなりにいいものを使ってあると思いますので、砥いで使う価値はありますが、そうでない安物のハサミならば使い捨てくらいに考えて頂いた方がいいですよ。

安物のハサミは研ぎに出す価値がない

なぜ使い捨てなんて言っているのかというと、決して物を粗末にしろと言う事ではないですよ。
いま刃物を研ぎに出すと、千円や千五百円くらいは砥ぎ代に必要になります。
千円や二千円で買われたハサミを同じくらいの金額を出して砥ぐって、もったいない話ですよね。
なので捨ててくださいっていうのは大げさな表現かもしれないですが、これを機会に自分で刃物を研ぐことができるように練習されるか、千円や千五百円くらいの砥ぎ代をはらっても良いくらいのハサミを購入される方が、今後を長い目で見ると物を大切にすることにもつながるのではないかと思います。

ハサミでお花の日持ちはまったく変わっちゃいます

「たかがハサミ」って思われるかもしれないですが、このハサミの切れ味でお花の水揚げや日持ちが大きく変わってきます。
あなたの使われているハサミは、どんなですか??

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。