”いけばな”は、知識や技術を学ぶ事が目的ではありません。そんな風に思ってしまうから楽しくなくなっちゃうのです。

こんばんは。
いけばな展つづきだったので、今日は9日ぶりに教室を開催した、いけばなの光風流家元 内藤正風です。

いけばな教室が大好きです!

いやー、教室ってイイですねーー。
お稽古に来られる皆さんと色んなお話をして、お花を生けて頂いて、お菓子を食べてお茶を飲んで。
この時間って本当に大好きです。

一生懸命さゆえに力の入れ方を間違えちゃうことがあります。

若い頃は、お稽古を指導させて頂くのに凄く肩に力が入っていたように思います。
もっと技術を身につけて頂かないといけない。
知識をしっかりと学んでもらわないと。。。。。
少しでも知識と技術をレベルアップしていただく事にこそ価値が有るんだと思い込んでいました。
。。。
ええ、若さゆえですね。

一番大切な事がぽっかりと抜け落ちている事に気が付いていなかったです。
一生懸命すぎて視野が狭くなってしまっているんです。
そう、生徒さんたちが「なぜ”いけばな”を習いにお越しなのか」と言うことを勘違いしちゃっていたんです。

生徒さんは、いけばなの知識や技術を学びに来られているのではない

って言うと、誤解を受けますね。もっと噛み砕いて書きますね。

いけばなを習うということは、お花を生ける為に必要な知識や技術を学びにお越しになられているんじゃないんです。
いや、お花を生ける為に必要な知識や技術を学びにお越しになられているのですが、それは単なる手段として必要なのであって、目的ではないのです。

いけばなを習って、自分の日常生活をもっと楽しめる空間にしたい!とか、自分自身をもっと高めてゆきたい。とか、仕事に役立てたい!とか思われて”いけばな”の門を叩かれお越しになられているんだと言うことを、知識や技術が有ればそれでいいと思ってしまっていたのです。

知識や技術はただの道具でしかない

知識や技術なんていくらあっても、その役立て方や楽しみ方を知らなければただの本棚の本と同じです。
百科事典を棚に置いているから役立つんじゃないですよね。
必要な時にその百科事典から該当する項目を引き出す事が出来なければ役に立たないです。
ハウツー本をいくら本棚においていても、それが出来るのとは違いますよね。

知識や技術はただの道具です。
道具をいくら沢山持っていても、使い方がわからなかったり間違えた使い方をしたのでは役には立たないです。

道具は使う人によって役立つかどうかが決まる

例えば「金槌」があります。
金槌は釘を打つ時に使うから役立つのです。
しかしおかしな使い方をするとその性能を十分に生かす事が出来なくなっちゃいます。例えれば、釘を打つ時に斜めに金槌を振り下ろしたりすると、釘がまっすぐ入らずに斜めに歪んじゃったりしますよね。
間違った使い方をして、指なんか叩いた日には大怪我をしちゃいます。

すなわち知識や技術がいくらあっても、その活かし方を伝えなければ意味がないって事なのです。

楽しみ方に間違いはない。全てが正解なのです。

”いけばな”は十人いれば十通りの楽しみ方が有ります。
それぞれの人によって、住宅環境や家族構成や好みや価値観など、なにからなにまで全てが違うのです。
ということは、それぞれの人に合せた楽しみ方や役立て方が存在しているって事なのです。

自分と同じでなければならないとか、こうでなければならないなんて思うと、周りの人もそうですがまず自分自身が一番しんどくなっちゃうのです。
十人いれば十通り、百人いれば百通りの楽しみ方が有るのです。正しい間違いなんてそこには無いんです。全てが正解なんです。だって楽しみ方に間違いなんて無いのですから。
知識や技術だけに目を奪われると、変になっちゃうって事ですねー。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。