「展覧会形式の勉強会」の作品説明は、人が変われば切り口やポイントが違っている方が面白いし、聞かれている人にとって魅力を感じて頂く事が出来ると思う

こんばんは。内藤正風です。

昨日から開催している「展覧会形式の勉強会」も本日2日目を無事に終えることができ、残すところ明日1日となりました。
って言ってもDAY2とDAY3は私が殊更にしないといけない事は無く、すべて幹部の先生方が切り盛りしてくださるので、お越しくださった方とお話をしたり幹部の先生方で手の空いている先生とお話をしたりの状態です。
あっ、だからというわけではありませんが、今日は兵庫県民会館で開催されるロビーコンサートの添え花の生け込みに朝一から行って来ることも出来ました。

展覧会形式の勉強会の特徴の一つ。それは作品の説明を聞く事

この展覧会形式の勉強会の特徴は、モデル作品を展示して頂いている先生方にはモデル作品の制作を通じての研修であると共に、この幹部の先生方によって生け上げ一堂に展示しているモデル作品を参考にしながら光風流会員の皆様には光風流いけばなを伝え学んで頂く機会にしているという事です。

特に光風流会員の皆さんには、幹部の先生による説明を聞きながらモデル作品をご覧いただくので、理解を深めていただきやすいですし、これからのお稽古の進んで行く道筋も感じて頂く事が出来るのです。

そんな中で、私はこの勉強会における説明について目指しているものがあります。
それは、説明をされる先生方一人一人によってマルッきり違う説明になった方が魅力的になるし、そうなるべきだと思っているのです。

説明は話す人によってマルッきり違って聞こえるのが普通だと思う

それはどういう事かというと、落語が良い例ではないかと思います。
落語は演目によって話しの骨組みは同じですしオチも決まっています。しかし落語家の話の仕方によってその面白さの種類は全く変わってきます。
例えば「時そば」と言う落語がありますが、二代目桂枝雀さんと三代目桂米朝さんでは全く違った魅力が生まれてきます。このお2人は弟子と師匠なのにです。

桂枝雀さん


桂米朝さん

物事は切り口や肉付けの仕方次第で、マルッきり違う魅力を引き出したり作り上げる事が出来ると思います。
言うなれば富士山を静岡側から見るのと山梨側から見るのとではまるっきり違う表情を見ることが出来るのと同じ事です。
あるいは麓から歩いて頂上を目指すのと五合目まで車で行ってそこから歩いて登るのとでも全く違う世界を体験する事が出来ます。

説明する人が違うのですから、話の内容や切り口が違うのが当たり前

この展覧会形式の勉強会でも同じで、それぞれの先生方によってマルッきり状況も環境も違います。
これまでに50人以上のお弟子さんを育ててこられた先生と最近お弟子さんを教え始められた先生とでは、経験も考え方もまるっきり違っているはずです。
男性の先生と女性の先生、年配の先生と若手の先生、色んな部分が違っていて当然です。ってか十人十色なのが普通だと思います。

そんななかでモデル作品についての解説が同じであることの方がおかしいと思うのです。
あっ、誤解があってはいけないので書き添えておくと、光風流の基本は誰が説明しても同じです。主になる枝の名称、挿す場所、寸法など、どの先生が指導されてもこの部分には何一つも違いはありません。
しかしどの材料を見立てるか、作品の中にポイントをどう作るかというような要素は、十人十色なのです。そう、私が違っているのが普通と申しあげているのは、この部分なのです。すなわちそれぞれの先生方の考え方や価値観、人となりという部分がという事です。

見方や、切り口や、感じ方が違うのはとても素晴らしい事で、そこにこそ他には無い魅力が備わっているのです

同じものも、その人の経験や価値観で見方や感じ方がまるっきり変わります。
円錐形を真横から見る人にとっては三角形です。しかし真上山下から見る人にとっては丸です。先のとがった部分を触った人にとっては痛いものと思われているかもしれません。
これ、どれも間違っていないのです。全てが正解なのです。
私はこの「展覧会形式の勉強会」で説明をして下さっている先生方には、こうあって欲しいと思っています。

説明される先生方が全員同じ事を喋られているのならば、お一人がすればいい事です。1人でするのがしんどいって事ならば、録音して流しておけばよいって事になっちゃいます。
けれどこれは私が望んだり求めたりしているものではないのです。

明日は朝から本部いけばな教室でしないといけないスケジュールがびっしりなので、私が先生方の説明を聞かせて頂く時間はほとんどないですが、それぞれの先生が自分の経験に基づいた個性に溢れたお話をして下さり、会場にお越しくださった光風流会員の皆様に楽しんで頂く事が出来る時間になればいいなぁと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。