「展覧会形式の勉強会」において行なっている作品解説は、人が変われば切り口やポイントが違っている方が面白いし、聞かれている人にとって魅力を感じて頂く事が出来るのです

こんにちは、内藤正風です。

先週開催した「展覧会形式の勉強会」は好評のうちに幕を閉じることが出来、新しいチャレンジをいっぱいし、そしてとても沢山のデータを集めることが出来ました。

今すぐに「展覧会形式の勉強会」を開催しても、3ステップも4ステップも歩みを進めた内容で行なうことが出来るくらいのデータが集まったので、これから来年までこれらのデータを頭の中で温めていくと、発酵してどえらい化学変化が起こりそうです。(笑)

展覧会形式の勉強会の特徴の1つは、作品の説明を聞く事

この展覧会形式の勉強会には、ならではの特徴があります。
そんな特徴の1つとして、会場に一堂に展示しているモデル作品を見ながら解説を聞いていただくことによって光風流いけばなを学んで頂くという事が挙げられます。

特に今回は、解説の内容をお越しになられる方のレベルに合わせて3つのクラスを設けて行ないましたので、より詳しく理解を深めていただくことが出来ました。

そんな中で、私はこの説明について「心の矢印を相手に向けながら、その人らしさを発揮する」事が大切だと思っています。

解説は話す人によってマルッきり違って聞こえるからこそ魅力的なのです

解説は話す人によって全く変わっていて良いと私は思っています。というか1人1人違っているのが良いと思っています。
とこんな風に言ってもわかりにくいですよね。ちなみにイメージとして私が思っているのは「落語」です。

落語は演目によって話しの骨組みは同じですしオチも決まっています。しかし落語家の話の仕方によってその面白さの種類は全く変わってきます。
例えば「花筏」と言う落語がありますが、三代目桂米朝さんと二代目桂枝雀さんでは全く違った魅力が生まれてきます。
このお2人は師匠と弟子なのにです。

桂米朝さんの「花筏」

 

桂枝雀さんの「花筏」

どうですか、まるっきり違いますでしょ。

この落語のように、物事は切り口や肉付けの仕方次第で、マルッきり違う魅力を引き出したり作り上げる事が出来ます。
そしてその大元には、お客様を楽しませたいという思いと、自分なりこれまでの経験や学んだものをどのように表現するかということがあり、だからこそその人だからこその魅力を生み出すことが出来るのです。

説明する人が違うのですから、話の内容や切り口が違うのが当たり前

この展覧会形式の勉強会でも同じで、それぞれの先生によってその状況も環境も違います。
なのでこれまでに50人以上のお弟子さんを育ててこられた先生と、最近お弟子さんを教え始められた先生とでは、経験も考え方もまるっきり違っているはずです。

もっと言うならば、男性の先生と女性の先生、年配の先生と若手の先生、生まれ育たれた地域による違い、先生から受けた指導の違い、色んな部分が違っていて当然です。ってか10人10色なのが普通なのです。
そんななかでモデル作品についての解説が同じであることの方がおかしいと私は思うのです。

あっ、誤解があってはいけないので書き添えておくと、光風流の基本については誰が解説しても同じです。主になる枝の名称、挿す場所、寸法など、どの先生が指導されてもこの部分には何1つも違いはありません。
しかしどの材料を見立てるか、作品の中にポイントをどう作るかというような要素は、10人10色なのです。すなわちそれぞれの先生の考え方や価値観、人となりが大きく反映されるという事です。

見方や、切り口や、感じ方が違うのはとても素晴らしい事で、だからこそ他には無い魅力が備わるのです

同じものも、その人の経験や価値観で見方や感じ方がまるっきり変わります。
円錐形を真横から見ると三角形です。しかし真上から見ると丸です。これ、どれも間違っておらず全てが正解なのです。
私はこの「展覧会形式の勉強会」の解説は、こうあるべきだと思っています。
もっとキツく言いますと、誰が話しても同じでないといけないという事ならば、録音して流しておけばよいのです。しかしそんなものに何の価値もありません。

それぞれの先生が自分の経験に基づいた個性に溢れた解説をして下さり、会場にお越しくださった光風流会員の皆様が参考にするとともに楽しんで頂く事が出来るようにしてゆきますし、これからももっとレベルを上げてゆけるようにしたいと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。