「欲」は悪いものではない | 自分も周りも幸せにする「利他的利己主義」という考え方

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

先日友人と話をしていて、「欲」という話になりました。一番わかりやすい「欲」は「利己」ですよね。自分さえよければ良いという感じです。
ちなみに私は、「欲」全てが悪いとは思っていません。だって人間がこれだけ進歩したり世の中が発展したのは、欲という動機があったからに他ならないのですから。

いけばなでも、もっと上手になりたい。もっと良い作品を生けたい。もっと勉強したい。もっとたくさんの人に知ってもらいたい。こういう「もっと」という欲、すなわち気持ちがあるからこそ、人は頑張ることが出来るのですから
という事で今日は、「欲」という事について考えてみました。

欲があるから、人は前に進める

考えてみれば、何かを始める時には「こうなりたい(こうしたい)」という思いが必ずあります。
上手になりたい。認めてもらいたい。良い仕事をしたい。誰かの役に立ちたい。そういう思いが、自分を動かす力になります。だから私は、「欲」を持つ事そのものを悪いことだとは思いません。

むしろ、自分が成長していくためには、ある程度の「欲」は絶対に必要だと思っています。

でも、欲が強くなりすぎると……

ところが、ここが難しいところなんですよね。

欲は、自分を前に進ませる力になる一方で、強くなりすぎると、自分や周りの人を苦しめるようになります。もっと、もっと、もっと。そう思っているうちに、今あるものが見えなくなってしまう。
いうなれば、喉が渇いて海水を飲んでいるようなものです。飲んでも飲んでも渇きが癒されるどころか益々喉が渇いて、そのうち自滅してしまう。

あるいは、すでに持っているものでは満足できなくなって、独り占めしたくなったり、全てを自分目線のみで判断するようになってしまう。そうなると、周りに迷惑をかけている事にすら気が付かなくなってします。気が付いていないのならまだしも、最終的には周りに迷惑かけるのが当然だと思う様になってしいます。こうなっちゃうと、人間の皮をかぶった鬼畜ですよね。怖い怖い。

利他的利己主義

とはいえ私は、欲を悪者と捉えることは出来ないのです。だって人間なんて欲の塊なんですから。もちろん私も。
ただその欲をどの様に出すかこそが、私達の求められている人間としての有り様だと思うのです。

講習会の時に、自分が一番良い材料を手に入れようとするのは「利己」です。しかし講習会の時に一番扱い難そうな花材を選んでお稽古するのは、自分にとっては研鑽に繋がる行動であり、周りの人には愛ある行動、つまり利他的利己主義になります。
約束の期日ギリギリになって、その後始末に周りのみんなが振り回されるような事をしているのは「利己」です。しかし、どうすれば周りの皆さんがしやすくなるかを考え、スケジュールも前倒しにしてゆくのは愛ある行動であり、利他的利己主義という事が出来ます。

ここで間違えて頂きたくないのは、自分が一人で疲弊したり、破滅するような事をしなさいと言っているのではありません。自分にとっても周りにとっても、良い結果に結び付くようにする。つまり、このバランスを大切にしましょうという事です。

過ぎたる欲は身を滅ぼす

欲を全部なくしてしまったら、成長する力まで失ってしまいます。しかし、欲に振り回されてしまったら、自分が何のために頑張っているのか分からなくなってしまいます。
欲は大切。しかし、過ぎたる欲は身を滅ぼす事になるのです。
つまり結局のところ大切なのは、欲を持たないことではなく、欲を自分で扱える様になることだと思うのです。

人である限り、我が身は可愛い。そしていけばなでも人生でも、「もっと」と思う気持ちは持っていたい。
しかし、その「我が身可愛さ」や「もっと」に追い立てられるのではなく、自分の言動をちゃんと振り返りながら歩んでゆく事こそが、私達人間が鬼畜や畜生とは一線を画す生き物である所以であると共に、私たちが決して忘れてはならない事だと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。