「型破り」と「型なし」は何が違う?いけばなを通して考える、基本と自由な表現の関係
ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。
10月から11月にかけて、「兵庫県いけばな展」や「日本いけばな芸術展」など、いけばな展が続きました。そんな中でこのブログにおいて、いけばなについてお話しさせて頂く機会も多かったのですが、その様な中で改めて思ったことがあります。それは「型破り」ということについてです。
「型破り」と「変わったこと」は、全く別のものです
いけばな展では、実に様々な作品が展示されています。伝統的な姿を大切にした作品もあれば、新しいいけばなを模索した、斬新な表現の作品もあります。そんな作品を見て「変わっていますね」と仰られる方がおられますが、そんな変わった作品の全てが「型破り」だとは思っていません。
そもそも「変わっている」というのは、何を基準にしているのでしょうか。自分がこれまで見たことがないから変わっている。自分の知っているいけばなとは違うから斬新だ。それはあくまでも、自分の経験や知識を基準にした感想でしかありません。
なので、ある人にとっては驚くような表現でも、別の人にとっては当たり前のことかもしれません。したがって変わったことをすること自体に、私は特別な意味は無いと思っています。
型があるからこそ、型を破ることが出来るのです
私は以前のブログでも書いたことがありますが、「型破り」とは、文字通り「型」を「破る」ことです。つまり、破るべき型が自分の中にしっかりと身についていなければ、型破りなんて出来るはずがないのです。
型を身につけたうえで、その型を超えてゆくのが「型破り」です。一方、型を身につけないまま、ただ自由に振る舞うことは「型無し」と言えるでしょう。
いけばなには、長い年月をかけて積み重ねられてきた基本があります。植物の扱い方、枝や葉の生かし方、全体の構成、空間の捉え方など、学ぶべきことは沢山あります。そうした基本を身につけたうえで、そこから自由に変化させたり、応用したり、発展させたりする。それが「型破り」なのです。
基本を知らないまま、ただ人と違うことをしようとする。あるいは、ちゃんとしたお花を生ける事が出来ないから、変わったことをしてお茶を濁そうとする。確かに、偶然面白いものが出来上がることはあるでしょう。しかし、それは単なる偶然の副産物であって、その人の実力ではないのです。
型を知らずに好き勝手にすることと、型を知ったうえで自由に表現することは、似ているようで全く違うものです。
私は、基本を学ぶということは、自分の表現を制限するためではなく、むしろ自分の表現の可能性を広げるためにあるのだと思っています。なので、身についている基本が大きければ大きいほど、そこから生まれる変化や応用の幅も大きくなるのです。
変わったことをするのが目的になっていませんか
そしてもう一つ、私が型破りについて大切にしていることがあります。それは、「何のために型を破るのか」ということです。
私は作品作りの時に、変わったことをしたいとか、人と違うことをして目立ちたいとか、そんなことを意識して作品作りをしてはいません。私が大切にしているのは、作品をご覧くださる方の予想を超えたいということです。
作品をご覧くださった方に、喜んでいただきたい。驚いていただきたい。思っていた以上のものに出会えたと感じていただきたい。そのために、どうすればよいのかを考えるのです。
たしかに奇抜なことをすれば、人は驚くかもしれません。しかし、相手を驚かせることと、喜んでいただくことは同じではありません。
自分が変わったことをしたいという思いだけでは、独りよがりになってしまいます。作品をご覧になる方に何を感じていただきたいのか。どうすれば、その方の予想を良い意味で超える作品作りが出来るのか。そのために試行錯誤するからこそ、昨日までの自分を今日の自分が超える事が出来る余地が生まれてくるのだと思います。
しっかりとした型があるからこそ、型破りが出来る。そして、その型破りが、作品をご覧になる方の予想を超え、喜びや感動につながる。私は、そんな「型破り」を大切にしてゆきたいと思っています。
内藤正風PROFILE

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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。




