スーツの襟には穴が開いていますが、この穴の名前と本来の使い方をご存じですか
ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。
今日は朝から光風流本部いけばな教室にて教室を開催しています。そして本日は夕刻からお出かけしないといけないので、事務などもそれまでに済ませておこうと、隙間時間にゴソゴソしています。
スーツの襟に開いている穴
皆さんはスーツの襟についているこの穴 ⇓ ⇓ ⇓ は何かご存知ですか?
会社の記章をつけている方が多いですよね。
はい、私も光風流のバッチを平素はここに付けています。
とはいえ、これは本来あるこの穴の正しい使い方ではないのです。ええ、私もアウトです。(笑)
スーツの襟についている穴の由縁
この穴の由縁には大きく分けて2つあるようです。
ひとつは、スーツの原型は、学生服などでよく見かける「詰襟(つめえり)」だと言われていて、この詰襟の「襟(えり)」の部分を折り返して開襟(かいきん)としたのが、スーツのはじまりであり、この詰襟の第一ボタンのなごりが、この穴になっていると言う説。
もう一つは、、風が強い日などにジャケットの襟をたてて風をしのいでいたんですが、その時に襟が風にあおられて倒れない様にボタンを付けて留めていたそうなのですが、そのボタンの穴をあけたのがこの穴になっているという説があります。
まあどちらが本当かなんて言うのは、今の私にとってはどうでも良い事なのでこのままスルーしておきますね。
襟にの穴は「フラワーホール」と言います
ちなみにこの襟についている穴の事を「フラワーホール」っていうんです。
このフラワーホールという名称は、その名前の通り昔々はこの穴に花が差されていたことに由来します。
今も結婚式で、新郎がこのフラワーホールに花を差す風習が残っていますよね。そしてこのフラワーホールは昔プロポーズのときに利用されたりもしていたそうです。
男性が女性にプロポーズをする時に一輪の花を渡して、女性はOKであればその花をフラワーホールに挿していたそうなんですが、なんかお洒落ですよね。
今も本気でスーツをちゃんとしたお店で仕立ててもらうと、フラワーホールのついている襟の裏に「チーループ」っていうものをつけてくれます。
写真の白いひもみたいなのがそうです。
これって単なる飾りではなく、フラワーホールに挿しているお花が安定するように、茎をここに挿して留めるためについているのです。
胸に花を
スーツの襟にお花を挿しているのは、イキっているのではなく、カッコつけているのでもなく、昔からの正しいスタイルだったんですね。
こういうことを知ると、お花を挿している粋な男性が、巷にもっともっと増えて頂きたいと思うのは私だけでしょうか。古来からの伝統にのっとって、胸にお花を飾ってみてはいかがでしょう。
とはいえ、胸にお花を挿してお家を出掛けようとして、女性に会いに行くとか飲み屋のおねーちゃんに会いに行くってご家族から誤解されても、私は一切関知しませんので、そのつもりでよろしくお願いいたします。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。