人生を豊かにしてくれるのは「体験」であり、いけばなもお花を生ける事を通じてどの様な体験を提供させていただく事が出来るかという事が大切なのです

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

今日もいつもお世話になっているスタジオ栄光社さんに、令和6年のカレンダーに掲載する作品写真や、光風流の流誌「光風たより」に掲載する作品写真の立ち合いに行ってきました。

 

ところでこのカレンダーの写真撮影ですが、私は皆さんに綺麗な作品を作りあげて頂き写真に残す機会とは考えていません。
では何かというと。いけばなを通じた「体験」をしていただく場だと思っています。それは大きく分けると「自分の作品がカレンダーという形になる体験」と「自分の作品を記録写真ではなく写真という媒体を使った作品にする体験」の2つになります。

人生を豊かにしてくれるのは「体験」

人生を豊かにしてくれる要素にはいくつもありますが、その中でも絶対に外すことが出来ないモノとして「体験」があると私は思っています。
知らない体験をする、より深い体験をする、幅広く体験する、というよなこれらは、その人の話題が絶対に豊富になると思うのです。
すなわち人間としての厚みや深みが加わるという事であり、その人の魅力が増すということにほかなりません。

そして色んな体験を通じて ”驚いたり” ”喜んだり” ”楽しんだり” できるのは、人生を大いに楽しむことが出来ているという事だと思うのです。

「体験」はお金を出さないと出来ない。しかしお金を出しても出来ない体験もある

「体験」には多かれ少なかれ必ずお金が必要になります。これはお金持ちを奨励しているという事ではなく、今の世は生きているだけでもお金がかかるようになっており、そういうルールになっているという事を申しあげているのです。
例えばお水はただではありません。水道の蛇口をひねればお水は出ますが水道代がかかります。ペットボトルのお水はガソリンより高かったりします。お金が掛からない様に親から相続した土地建物で自給自足していると言っても、固定資産税は必要になります。つまり生きていくだけで何かしらのお金が必要になるという事です。

そんな中で、何かを体験するためにお出掛けすれば移動に費用が掛かります。仮に歩いて行ったとしても服を着たり靴を履いたりしなければお出掛けなんてできないのですから、全く費用を掛けずに出来るお出掛けなんてありません。
なので何かを体験しようと思うとお金が必要になるという事です。

ではお金を出したら何でも「体験」出来るのかというと、そんなことはありません。
たとえば遊園地に行って乗り物に乗るためにはお金が必要になります。しかしいくらお金があっても、身長制限とかがある乗り物にはその身長に達していなければ乗ることが出来ないのです。

これは私ども光風流のカレンダーへの作品掲載の体験も、誰でもが出来るものではありません。
まず光風流でお稽古しておられる方でなければその資格がそもそもありません。そしてカレンダーに作品を掲載するのは光風流の皆さんに門戸が開かれているとはいえ、1カ月に1頁(1作品)という事になると、1年に12名にしかそのチャンスはないのです。

いかに沢山の体験をするかが、よりよい判断と選択に繋がり、その事が豊かな人生になる

私は人生って、色んな事を「体験」して知ることによって楽しさが増えると思っています。

一例をあげるならば飛行機にはエコノミークラス、ビジネスクラス、ファーストクラスがあります。これってお金の違い(贅沢の違い)だと思われている方が多いと思いますが、私は「体験」の違いだと思っています。
すなわち、移動時間は同じだけれども、エコノミークラスで移動したときの体験と、ビジネスクラスやファーストクラスで移動したときの体験の違いなのです。

たとえばハワイに行くときにエコノミークラスに乗ると、席も狭く窮屈なので飛行機が早くホノルルに到着しないか待ちどおしくてなりません。何なら飛行機に乗っている約8時間が、狭いとか窮屈とかを常に身近に感じて苦痛だったり我慢の時間だったりします。
しかしビジネスクラスに乗るとゆったりとした姿勢でリラックスした時間を過ごすことが出来ますので、8時間の移動時間は変わりませんが体感としては到着まで早かったなぁ~、「えっ、もうワイキキに到着するの?」って感覚になります。

この体験の違いこそが料金の違いという事ですし、到着後の肉体的な疲れだけではなく精神的なありようにまで大きな影響が出てくるという事なのです。

経験や感覚というものは自らで「体験」しなければ絶対に分からないものですし、「体験」から得られた感覚や経験をもとにして、「今回はこういう風にしよう」と、より良い考え方や選択がその後に出来るようになるのです。

「体験」を大切に考えると人生が豊かで楽しくなります。なので私達いけばなに携わるものは、花を生けるという事を通じて生徒さんたちにどの様な体験を提供する事ができるのかという事を常に考える事こそ大切なのだと私は思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。