自粛しているだけでは旧に復することはありません。コロナ禍では、いけばな展を開催している姿を見て頂く事自体にも大きな意味があると思うのです
目次
こんにちは、内藤正風です。
いよいよ「光風流いけばな展」の開催まで1週間を切りました。
今回のいけばな展はこの”コロナ禍”という環境の中で、本当に色んな事を考えてきました。って言うよりは考えざるを得なかったというか考えさせられました。
それはどうすれば開催できるのかというような方法論から、そもそもいけばな展とは何なんだという事まで、ありとあらゆることについてです。
そして答えが出たものもあれば、まだ答えを導き出すことが出来ていないものもあります。
いけばな展は作品を見てもらう機会だという大きな考え違い
いけばな展というと作品を並べて見てもらう機会だと思いがちです。けれどこれって大きな間違いだということを、今回のいけばな展の事を行なっている中で私自身が改めて再確認する機会になりました。
私は以前より「いけばな展はただの手法であって、目的ではない」という事を光風流の皆さんには度々お話をしていました。
それはいけばな展という事業を節目にして、少しでも良い作品を展示することが出来るように自分の技術を磨く。という事であったり、いけばな展という機会に、お友達や仲間に会場に来ていただいてお話をしたりお茶を飲んだりすることで関係性を深める機会とする。という事であったり、運営側としていけばな展の開催に携わる事で、人のお世話をさせて頂くというようなことからいろんなことを学ぶ機会とする。という事です。
これがいけばな展の開催が目的になってしまうと、開催できてよかったよかったとか、〇千人がお越しくださったのでよかったよかった、で、終わってしまうので、そこから色々な学びや経験に広がってゆかなくなってしまうのです。
「自粛を自粛」するという考え方
当初は中止や延期も視野に入れてのスタートだったのは間違いありません。あっ、嘘をつきました。。中止は視野にはありませんでした。延期だけしか視野には入っていませんでした。
今年の年頭より私は「準備は予定通り進めてゆきます。そして万一開催することが出来ないような状況があった場合には、延期をします」と光風流の皆さんにはお話させて頂いていました。
これは私の中で、絶対的な考え方になっているものがあるからです。それは。。。
「自粛を自粛する」という事です。
行動こそが全てを良い方に導く唯一の方法
「自粛を自粛する」というと、凄く乱暴な事を言っているように聞こえる方もあると思います。これどういう事を言っているのかというと、「自粛を選択するのは凄く簡単なのですが、その先に未来は無いよ。。」ってことが言いたいのです。
この考え方の大元になっているのはこれまで2度体験してきている震災、阪神淡路大震災と東日本大震災での経験です。その中では阪神淡路大震災での経験と学び、そして東日本大震災での検証といった方が正しいですね。
阪神淡路大震災は1995年に起こりました。いまからちょうど25年前になります。
光風流本部いけばな教室は同じ兵庫県であっても内陸部にありますので、阪神淡路大震災のときに直接の被災はしませんでした。しかし光風流の方の中には被災された方も沢山あり、私の友人や仲間も沢山が被災しましたので、他人ごとという感覚ではなく被災者の感覚でした。
その様な中で日本中が、今阪神間に行くのは控えよう。。という風潮になったのですが、阪神間に住んでいる友達や仲間の多くが言っていたのは、「物見遊山で良いから来て欲しい。そしてお金を使って欲しい。それは復興に繋がってゆくんだから。」という言葉でした。
たしかに人の不幸を見に行くなんて不謹慎極まりない事です。しかし復興するためにはお金が必要なのも言うまでもないことです。
これは後になったから言えることですが、この様にしてとにかく出来る事について行動を起こしていた人は、早い段階で復興のスタートを切り復興のスピードも早かったように思います。
そしてこの考えは東日本大震災の時にも当てはまっていたように思います。
なのでとにかく出来る事を見つけ、出来る方法を選んで行動するという事は、絶対なのだと私は思っています。
コロナ禍では、いけばな展を開催している姿を見て頂く事自体にも大きな意味がある
震災とコロナ禍を同列にするつもりはありません。しかし危機的な状況にあり、人々の日常生活や心に大きな禍のもとになっているという事は同じです。
その様な中で自粛するという事を正義とし、魔女狩りのような風潮を正義としてしまったのでは、この国の未来は無くなってしまうと思います。
いけばな展で作品を見て頂き楽しんで頂くとか心の安らぎを感じて頂くという事だけではなく、「みんなの力が集まれば出来るんだ」「出来る事は必ずある」「行動にこそ未来はあるんだ」ということを皆さんに感じて頂くという役割も私たちは果たすことが出来るのではないかと思います。
だからこそ、いけばな展の会場に来ていただかなくても楽しんで頂く事が出来るいけばな展づくりを考えないといけないと強く思いますし、何が出来るか分からないけれどとにかく行動を起こす事こそが大切なのだと思います。
いけばなの作品を見て頂くのもいけばな展ですし、いけばな展を開催している姿を見て頂くのもいけばな展だと思います。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
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