菊は仏様にお供えするためだけのお花ではありません。菊を仏様にお供えするようになった理由をご存知ですか

こんばんは。
今日は陸上自衛隊 青野原駐屯地の盆踊りに来ている、いけばなの光風流家元 内藤正風です。

 

ブレブレですみませんーー(笑)

 

お盆の月、8月には各地で盆踊りが開催されます。
この盆踊りは、お盆に精霊をお迎えする事から、死者を供養するための行事として定着したものなのはご承知の通りかと思います。

ちなみに私が先日訪れたハワイでも、盆踊りは盛んにおこなわれていて、ちょうど私が行っていた時にあちらこちらに”やぐら”が組まれていて、「Bon Dance」の看板や垂れ幕がかかっていました。
さすが日系の文化の影響を強く受けているワイハーです!!

さて、お盆といえば仏様にお花を飾りますよね。
神仏にお花を手向けると言うのは、宗教宗派を問わず世界共通の行為です。

菊は仏様のお花なのか?

日本では仏様のお花として「菊」が皆さんに認識されています。
私もよく質問を受けるのですが、「菊は仏様にお供えする花なので、普段は生けたらいけないのですか?」とか、「菊は葬式に使うので不浄の花なのですか?」って言われる方が結構多いです。
しかしこれって大きな間違いなのです。

なぜ菊の花を仏様にお供えしたりお葬式に使うのか。
その理由について今日はブログを書きたいと思います。

なぜ菊を仏前に供えるのか

なぜ菊を仏前に供えるのか。
その一番の理由は、菊はお花の中では一番格式高いものと古来より考えられていて、仏様に敬意を払い、お花の中で一番格式高い「菊」をお供えするのが一番ふさわしいと考えたからなのです。

菊が一番格式高いと考えられている分かりやすい実例

菊が一番格式高いと考えられている一番わかりやすい例、それは天皇家のご紋です。

宮家にはそれぞれご紋があります。
このなかで天皇家のご紋は「菊」のご紋、正式には「十六八重表菊」というものがその紋章です。

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「十六八重表菊」

日本の象徴である天皇家のご紋になるくらいですから、菊が格式高くおめでたいものと言う事は容易に想像していただく事が出来ると思います。

菊が特別な存在として考えられている理由

菊は古来より解熱、解毒、鎮痛、消炎の効果がある「漢方」としても扱われています。

スーパーやお魚屋さんでお刺身を買われたら、刺身のつまとして大根などと共に「菊」の花が添えられていますよね。
あれは見た目が綺麗とかってことで添えられはじめたのではなく、菊にある殺菌作用で刺身が傷みにくくするために添えられているのです。

ちなみに刺身のつまの大根も食あたりをしないと言われているから添えられているのです。
ただのカサ上げじゃないですよ(笑)(笑)
”大根役者”っていう言葉がありますよね。
あれは大根を食べると食あたりをしないって言うことから「当たらない役者」=「売れない役者」ってことで言われるようになったそうです。

他にも9月9日の重陽の節句に、お酒に菊を浮かべて「菊酒」として飲むとかのように、古くから菊は食用にされたり薬として扱われてきているのです。

菊は格式高い花であり、生活に役立つ存在なのです。

「菊」は仏さんの花だから、仏さんにお供えするとき以外には生けてはいけないなんて思っている人、大きな間違いです!!!

菊は花の中で一番格式高くおめでたい存在であり、私達の生活の中で漢方としても大いに役立つ存在なのです。
是非覚えておいてくださいね。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。