日本の文化と諸外国の文化の違いの根幹は、「恥」という考え方にあります

ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。

今日は光風流本部いけばな教室のお稽古日だったのですが、お越しになられている幹部の先生と何気ない雑談をしている中で「そうだよなぁ」と改めて思う事があったので、今日はそんなことについてブログを書きたいと思います。

日本の文化の根底にある「八百万信仰」

これまでのブログの中で、日本の全ての文化の根底には「八百万信仰」が流れており、この考え方は世界の中でも日本だけの考え方であるという事を、度々書いてきました。そして「いけばな」にももちろん全てのものに精霊が宿るという「八百万信仰」がその根底にあるので、植物を単なる素材としてみるのではなく、命ある存在として敬意を払い大切に扱う事が、その大元にあります。

ちなみに八百万信仰は神様や仏様と言われる存在だけではなく、木や草や花、日頃使っている道具、道端の石、そして人が話した言葉やトイレにまで精霊が宿っていると考え、その中でも特に「太陽」と「月」は別格の存在として扱われてきています。

日本人が持つ「恥」という考えかた

皆さんは子供の頃に「お天道様が見ているよ」という事を、親や身近な大人から言われたことはありますでしょうか。
お天道様とはすなわち「太陽」の事です。太陽はあまねく降り注いでおり、コソコソ悪い事をしても隠しきれるものではないという教えなんですが、私はこの言葉こそが日本人の一番大切にしなければならない事だと思っています。

最近ネットなどで、電車の中で子供がいう事を聞かないときに、「ほらあのおじちゃんが怖い顔して睨んでいるからしちゃだめ」って親が叱っているという投稿を目にしたりします。こういう投稿を見ると日本もどんどん西洋化しており、日本の古き良き伝統が失われて行っているなぁと感じます。
つまりこういう場合に日本の古来からの考え方の場合には、靴のまま椅子にあがったら他の方に迷惑をかけるからしてはいけないという様な指導であったり、そういう事をしていたら恥ずかしいよという風に親から言われたものだったと思うのです。

つまりここにあったのは「恥の文化」だったと思うのです。

自分の良心に従うという事

では「恥」とか「恥ずかしい」というのは何に対しての気持ちだったのかという事ですが、それは自分の良心に対してに他なりません。誰かがどうこうとか、他人がどうこうという事ではなくです。
そしてその事をあまねく世を照らす太陽に置き換えて、「お天道様が見ているよ」という表現をしていたに他ならないのです。
つまり誰かに叱られるからではなく、何か罰則があるからでもなく、あくまでも自分の良心に照らしてという事、ここにこそ日本人の日本人たる所以であり、八百万の国の真骨頂があると私は思うのです。

よく日本では財布を落としても警察などに届けられているという事がいわれますが、これなどは正にその良い事例だと思います。
落ちていた財布を見て、バレなければ自分の懐に入れたら良いという考え方と、自分の良心に照らし合わせて警察に届けておこうと思う心の違いに他ならないのです。

「恥の文化」と「罰の文化」

日本が八百万信仰である一方で、諸外国は一神教であり絶対神の文化になります。(バリ島のように多神教の国も一部ありますが。。)
その様な中で日本は前段でも書きましたように、人々の行動指針を「恥」という考え方に置いてきました。しかし諸外国は宗教の教義によって人々の行動指針とし、その教義に反した者には罰を与えることによって縛ってきました。つまり日本は「恥の文化」であり、諸外国は「罰の文化」であるという事が出来ると思うのです。

「恥の文化」と「罰の文化」、このどちらが良い悪いというような事を私は言いたいのではありません。だってそのそれぞれが、色々な国の礎となっているのは事実なのですから。そんな中で私が言いたいのは、世界の中でも日本だけの考え方である「恥の文化」を私たちはもっともっと誇りに思うべきだし、もっともっと大切にするべきだと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。