学びは「盗む」ことから始まるといいますが、実はその第一歩は「体験」から始まっているのをご存じですか
ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。
日一日と近づいてきています「光風流いけばな展」。今日は光風流本部いけばな教室のお稽古日ですが、朝から「光風流いけばな展」に向けた作品作りのお稽古に、皆さんお越しになられています。
そんな皆さんの様子を見ながらふと思ったのです。学びの第一歩は「盗む事にある」とよく言われますが、実は学びの第一歩は「体験にこそある」なあと。
なので今日はそんな事についてブログを書きたいと思います。
そもそも、何を盗めば良いのかが分からない
日本では古来より特に技術的なことについては「見て覚えろ」とか「盗め」と言われます。私も確かにその通りだと思うのですが、ただ一点、前提が少し違っているなぁと思うのです。ちなみに私が思う前提とは、「学びは体験から始まる」ということです。
皆さん冷静に考えてみてください。聞いたこともやったこともない事柄を、「見て覚えてやれ」と言われても無理ですよね。
たとえわずかでも予備知識があったり、似たようなことを別の事柄で体験していたりしていれば別ですが、初心者や素人にいきなり「見て覚えただろうからやれ」って言われても、それは凄く遠回りな学びと習得になると思うのです。
見て盗もうにも、見るべきポイントが分からない
いけばなには「矯める」という作業があります。これは、花材についている悪い癖を治したり、自分が思う形をつけたりする作業なのですが、最初は思う形にならなかったり折れたりして、この矯めるという作業には慣れが必要になります。
そしてこの矯めるという作業を習得するためにまず最初に必要なのは、見るということではなく「何度も失敗しながら試行錯誤する」という体験なのです。
つまり自分で枝を矯めてみるという「体験」や失敗するという「体験」がまず存在しなければ、見て盗もうにも何を見ればいいのか、どこを気にすればいいのかすら分からないということになってしまうのです。
全ては体験から始まる
山本五十六の言葉に「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」がありますが、いけばなのお稽古も初心者には正にその通りだと思います。
まずはやってみせる。そしてさせてみる。その中からのみ気づきや学びを得る事ができると思うのです。
人それぞれによって、何を感じてくださるかは違ってきます。しかしそんな中ではっきりと言える事が一つあります。それは物事は自らが体験するからこそ、学びや刺激を得る事ができるという事です。
体験して理解できようとできなかろうといいんです。まずそのものやことに触れてみる。そこから興味や、疑問が生まれてくるのです。なんならその時には分からなくてもいいんです。その後に自分が成長したり必要になってきた時に、「あっ、あの時の!!」って、生きてくる場合もあるのですから。
なのでそのようにして考えると、見て盗むにはその前段階として「体験する」ということが不可欠だと私は思っていますし、これからもそういうお稽古の進め方や、いけばなからの学びを、皆さんに提供してゆきたいと思います。
内藤正風PROFILE

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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
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