”いけばな” は命を素材にしています。命に軽い重いの違いはないので、この寒さ厳しい時期にもお水に意識をしっかりとむけることが大切です
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ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。
先日開催したYOROZU salonに、お惣菜で出展されていた吉留さんが大量のニンジンを使用されて、そのヘタが沢山あるのをお聞きしたので、「お皿に水を入れてヘタを浸けておくと葉っぱが出ますよ」というお話をさせて頂いたのですが、以前に私も実際にニンジンのヘタを使って水耕栽培を行なったことがあり、写真を探していたら出てきました。
どうですか、可愛くありませんか。こんな人参のヘタも水が有れば芽吹くのです。植物ってすごいですよね。
命に ”軽い重い” や ”大小” はありません
命は人間も植物も動物も虫もみんな同じです。人間の命だから大切にして植物の命だから軽いというものではありません。
これは私がしている「いけばな」で考えるとわかりやすいと思うのですが、いけばなは生け花とも表しますし、生花とも書き、またほかにも活け花や活花、あるいは挿花という風にも表します。
つまり「いけばな」が古来より ”花を生ける” という事であると共に単にそれだけに留まるものではなく、”花の特徴や魅力を生かす” という意味でもあり ”花の命を生かす” ということでもあるという表れに他ならないのです。
冬は気温が低いのでお花が長持ちする。とは限りません
多くの方が、冬は気温が低いのでお花は丈夫で長持ちすると思われています。これは確かにそうなのですが、実は大きな勘違いでもあるのです。それはどういう事かというと、冬は気温は低いですが室温は暖房で高いと言うことです。
お花を飾られている環境を考えてみてください。気温が低くて寒ければ寒いほど暖房を入れますよね。暖房を入れて人間が寒くない温度になっているということは、結構な室温になっているって事です。そして暖房をしているということはその部屋の空気が乾燥していると言うことでもあります。
なので夏であろうと冬であろうと関係なく、お花を飾っているお部屋の温度一定以上であり、お水はそれなりに傷むという事に他ならないのです。
寒い冬に水を触りたくないのはわかりますが。。。
確かに分かりますよ。気温低いのにお花長持ちするやんって思う気持ち。あるいは、水場が遠かったらお水汲みに行くの寒いから。。。って思う気持ち。お水換えているときに手が水に触れたら寒いやん。。って思う気持ち。全~~~部わかります。
けれど暖房されているお部屋のお水が傷むスピードは、皆さんが思われる以上に早いですし、蒸発して減るスピードも結構な速さなのです。
つまりお水が傷んでしまうとお花は傷んでしまいます。そしてお水が蒸発したら、足を深く挿されていないお花はお水から出てしまって萎れたり傷んだりしてしまうという事なのです。
命に軽い重いの差はないのです。何も物言わぬ植物だからこそ、大切にしてあげたいですね
お花の命も人の命も、命に違いはないのです。動物ならばワンとかニャンとか何かしら言ってくれますが、お花は何も言いません。物言わぬから良いのではなく、物言わぬお花だからこそ大切にしてあげないといけないと思うのです。
この寒い盛りの時期であっても、お水の大切さを忘れない様にしたいものですね。
内藤正風PROFILE
![内藤 正風](https://naitoseifu.com/wp-content/uploads/2017/04/pf300x200-iemoto-150x150.jpg)
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。