先日の「師範披露いけばな展」を通じて改めて確信した、いけばな展の案内には「個」の力と「口こみ」が一番大きな力になるということ

こんばんは、内藤正風です。

今日は終日、本部いけばな教室でお稽古三昧の1日だったのですが、そんな中で、先日開催された「谷口友甫師範披露いけばな展」のお話をお聞きしながら、やっぱりそうだよなぁ~と思う事があったので、今日はそんなことについて取り上げたいと思います。

「師範披露いけばな展」とは

先月末の2月29日、兵庫県姫路市において「師範披露いけばな展」が開催されました。


「撮影・龍田美甫さん」
披露生 谷口友甫師範(左)、指導者 藤本和甫先生(右)

私ども光風流では、お稽古のステップを表すものとして「許状」というものがあります。
「許状」とは一般に置き換えれば、”終了証”とか”認定証”のようなものだと思っていただければ良いと思います。
そんな許状の中に「師範」という段階があり、これはいうなれば”指導者として独り立ちして活躍していただくことが出来ますよ”という意味のものになります。

そんな「師範」というステップの許状を取得したことを披露する機会が、この「師範披露いけばな展」になります。

とても沢山の方がお越し下さり、大好評だったそうです

当日会場に行かれていた皆さんからお聞きしたのは、
とても沢山の方が来場されていた。
藤本和甫先生の地元のご婦人方がとても沢山行かれていた。
谷口友甫さんのお友達やご家族や親せきの方がお越し下さっていた。
谷口友甫さんのお友達がお花を習いたいと言われていた。
藤本先生のお弟子さん方がとても楽しまれていた。
というようなお話で、とにかく皆さんにこんなにも喜んでいただくと共に楽しんで頂くことが出来て、本当に良かったと思っています。
だって折角いけばな展しているのに、だ~れも来られないだなんてホンッとうに悲しいですもんね。

世の中の情報の流れや、興味を持つ方法が変わってきている

これまででしたら新聞広告やラジオやテレビなどで、とにかく広範囲に案内をするのが普通でした。
チラシなどでもより広範囲に、より沢山の枚数を配布すれば、ある程度の人数がお越しくださるという成果にも結び付いていました。

しかし現在、こういう不特定多数に対するご案内の方法をとっても、いけばな展にお越しいただく事は非常に難しくなっています。
もっと言うならば、昔と比べて「いけばな展」にお越しくださる来場者数は年々減っています。
昔ならば「いけばな展」にお越しくださった方から、お稽古したいのですけれども。。。という問い合わせや申し込みなども沢山ありましたが、現在は激減しています。

では今どうなってきているかというと、友人や知人が作品を展示しているから見に行ってみよう。
友人や知人が一緒に行こうと言うから行ってみようかな、というような行動になってきているように思います。
それが証拠に、作品を出展している人数が多い時には来場者数も増えますが、人数が少ない時には来場者数も減ってきます。

いけばな展に行こうと思うかどうかは「人」が大きなキーワードになっている

この状況から感じるのは、いけばな展にお越しになられるかどうかの一番のポイントは、「人」が大きなキーワードになっているように思います。

〇〇流のいけばな展だからとか、特徴ある材料が使われているからとか、生け方が好きだからとかっていうのは、もう既にお稽古をされている方や、ある程度いけばなに関して造詣の深い方の動機であって、いけばなを初めて見るとか、いけばななんて今までに身近に無かったっていうような方から見ると、そんなのは全く動機にならないのです。

それよりも、友人の○○さんが作品展示しているからとか、おばさんが作品を展示していて見に来てって言われたからとか、いけばな展見に行ってきたんだけれど面白かったから行っておいでって友人から薦められたとかって事の方が、大きな動機になるのです。

「個」が大きな力を発揮する時代

私は今の時代、というかこれからの時代は、友人知人に案内する「口こみ」が一番大きな力を発揮していくように思っています。

何故そう断言するかというと、仮にいけばな展を開催して1000人の来場者があっても、自流派の人ばかりがお越しくださっている1000人と、たとえ来場者が100人であっても、いけばな未経験の方がお越しくださっているのとでは全く内容が違いますよね。
こんな風にこれからのいけばな展では来場者の数のみを競う考え方ではなく、人数が少なくとも出展者のお友達や知り合いや親戚など個人のつながりを重要視するのが絶対に良いと思うのです。

個人を重視するというと、確かに1人1人の力は小さいかもしれないです。
しかし、いけばな展に作品を展示している人たちだけではなく、そこに関わっている皆さんまでもが、それぞれの友人にお声掛けするだけで、とても大きな力になるのだと思いますし、この度の「師範披露いけばな展」の好評だった原因も、まさしくこれに尽きると思うのです。

「口こみ」に勝るものは無いでしょうし、「口こみ」こそが大きな力を発揮する時代なのだと、改めて感じる機会になりました。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください