光風流創流65周年を記念した ”いけばな展” の開催に向けたスタートを切り、そんな中で思った、「物事は続くからこそ価値になる」という事

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

昨日は午後から、光風流いけばな展の出瓶者総会を開催しました。

出瓶者総会というのは、いけばな展に作品を展示する人たちに、いけばな展の説明を行なう機会になり、出瓶者総会を行なうと「いよいよいけばな展に向けて動き出すなあ」と私はいつも気持が引き締まります。

創流65周年を迎えた光風流

光風流は今年、創流65周年を迎えました。周年というと、60周年の時に行なったホテルオークラ神戸での祝賀会が、つい先日のように感じますが、もうあれから5年も経ったんですよね。

ちなみに私は、周年という機会には周年を理由にして色々な事に取り組み、自己成長のきっかけにすることが出来る機会だと思っています。かっこよく言うと、光風流の古き良き伝統と、光風流の新しい挑戦を交錯させながら、ステップアップをする良い機会って感じでしょうか。

なので節目を大切にしたいと思っていますし、折角の節目を生かさないと勿体ないと思うのです。

節目を大切にするというのは、日本人の代表的な考え方です

節目というのは、とても便利かつ都合の良い、日本人の代表的な考え方だと私は思います。
例えば思うようにならなかった年も、12月31日から1月1日に代わっただけで、気持ちを切り替えて新しい年を歩んでゆこうって言いますよね。そして逆に昨年が良い年だった人は、昨年の好調に浮かれることなく、ふんどしを締め直して進もうという風に、良い時も気持ちを切り替えて新しい年を歩んでゆこうって言います。
これって、年が改まるという節目を大切に捉えているからこその思考ですよね。

日本人には古来より生まれ変わりの考え方が根底にあります。つまり節目の前後では全く違うという捉え方です。
ちなみにこの節目を大切にするという考え方で一番象徴的なものに「式年遷宮」が挙げられると思います。
式年遷宮は文字通り、一定の期間ごとに宮を遷すという事で、皆さんがパッと思いつかれるのは伊勢神宮の式年遷宮ではないかと思います。

あるいはお正月も年神様が変わり1年の節目を超えるという事により、新しく生まれ変わっていると言う事が出来るでしょう。もっと身近なところでは、毎日夜寝るという行為も、翌朝に起きる事により生まれ変わっているという風に捉える事が出来ます。

生まれ変わりには永続性の力が宿る

ではなぜ、日本人は生まれ変わりという事をこんなにも大切にしてきているのかというと、生まれ変わることによって未来に向けて永続性を得る事が出来る様になると考えているからです。

例えば先に書いた式年遷宮なども、20年という期間ごとにお社を建て替える事によって、建築のために必要な技術を継承していくことの役割と、めったに行う事がない祭祀の作法?手法?なども継承してゆく事が出来る様になります。
1年を前の年と新しい年という風に別のモノと考える事によって、前の年に悪い事が度々起こっていたとしても心機一転気持ちを切り替えて臨むことが出来る様になりますし、逆に良い事が続いていてもその事にうぬぼれるのではなく新しい年に気持ちを切り替えて臨むことが出来る様になります。「勝って兜の緒を締めよ」ですね。

親から子、そして孫につながってゆくという事も、人には寿命が必ずありますが世代を重ねてゆく事によって永続を手に入れる事が出来るという事に他なりません。
自分が誰かから学んだ事や積み重ねてきた経験は、しっかりとバトンタッチをして後世の役に立ててゆかなければ、人の成長も進歩もなくなってしまうという事だと思うのです。

物事は続くからこそ価値になる

いけばなにも同じことが言えると思います。先生から学んだ知識や技術を誰にも伝えずに1人占めしているという事は、自分さえ良ければよいという利己主義に他なりません。
なぜならこの行為は、先生からの流れを自分のところで途絶えさせてしまうという事にほかならず、先生への恩返しにもならないどころか後世の人に伝えるという一番大切な役割を放棄しているのですから。

物事は続くことにより価値が生まれます。それは日本が今年皇紀2685年を迎え世界の中でもずば抜けて長い歴史を持っているという事であったり、その歴史の中で色々な文化が生み出されてきたという事であったり、それらが今も営々と続いているという事によって真似の出来ない物になっていっているのです。

今世の中のあらゆるものは、お金を出せば手に入れることが出来ます。しかしいくらお金があっても手に入れる事が出来ない物もあります。それは歴史です。歴史や長い年月の中で積み上げられ磨かれてきたものだけは真似をすることが出来ません。
という事はすなわち、古来からの教えを学び、それを自分なりに創意工夫し、そういう経験やノウハウを後世に伝承してゆくことこそが、人がこの世に生を受けた理由であると共に使命だと思うのです。

その意味で周年という節目は、私たちにとって大きな意義ある存在ですし、大切にしないといけないと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。