人は趣味について聞かれたときに、なぜ年数で答えようとするのかを考えてみた

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

今日は4月28日、ゴールデンウイークまっただ中な月末であり週末ですが、私は日頃と変わらず講習会を開催しています。

人は趣味について聞くときに、なぜ年数を聞こうとするのか

いけばなだけに限らず、趣味について「どのぐらいされているのですか?」って聞かれると、多くの人が2年です。とか、7年です。とか、20年です。って言うように年数で答える場合が多いです。
そして年数が多ければ多いほど、凄いですね~とか、お上手なんですね~って言われたりしていますが、これって不思議だな~って、私はず~~っと以前から思っています。
だって年数ほど不確かなものは無いからです。

私が大学生の頃から始めて今も続いている趣味の一つにスキューバダイビングがあるのですが、これなどは潜った本数やCカードのランクなどで聞くし答えます。
例えば「何本くらい潜られているんですか」とか。「ランクは何ですか」というような感じです。そして「35本です」とか「150本です」というように答えたり、「オープンウオーターダイバーです」とか「レスキューダイバーです」とか、「オープンウオーターインストラクターです」という風に答えますので、経験の大小や、スキルアップについてが、明確にわかるのです。

年数=技術の習得や熟練ではない

なぜ私がこんなことを言うかというと、いけばなで例えると、1年に1度、お正月の時だけお花をお稽古しに来られる方がおられたら、20年お稽古されていてもそのトータルの回数は20回にしかならないんです。
かたや、毎週1回ずつお稽古されている方がおられたら、1年間で52回お稽古されている事になるんです。

20年間で20回の人と1年間で52回の人。どちらが上達しているかは言うまでもないですよね。すなわち、年数=技術の習得や熟練と言う事ではないって事なのです。

なぜ年数で比較し判断の基準にするのか

先にも書いたように技術の習得でいうならば、1年間で52回の人の方が圧倒的に沢山の事が身に付いていると思います。しかしより長く継続しているという事ならば、20年の人の方が圧倒的です。
またその他にも、お稽古のステップによる比較も出来るでしょうし知識や技術の習得度合いによる比較もあるなかで、なぜ年数で比較したり判断したりする人が多いのでしょう。

私が思うに、その人の経験や熟練の度合いというものは一言では分からないので、言葉ですぐに比較することができる日数という物差しに置き換えているのだろうなと思います。
たとえばいけばなを例に挙げれば、「五行格13本の生け方まで練習をしています。」って言われても、いけばなについてある程度の理解があったり格花をお稽古されている方になら理解できても、そうでない方にはこの回答を聞いてもチンプンカンプンですよね。
なので何かの経験について聞かれた時には、全ての人に平等な「時間」を物差しにして答えるようになっているのかなぁと思うのです。

あともう一つ言えるのは、日頃のお稽古をあまり熱心になさっていない方に限って「〇〇年やっています」みたいなことをおっしゃられる方が多い様に私は思っています。ま、これは、「○○さんを知っている」とか「○○さんとご飯を食べに行った」とかと同じで、結局は自分を少しでも大きく見せたいという事なのかなぁなんて思ったりもしています。

年数ではなく経験や学びこそが大切

先日の光風流本部いけばな教室において、一番最初のステップの許状(初伝)を取得されて、現在はその次のステップの許状取得に向けてお稽古に励まれている生徒さんが、お子様の家庭訪問があるのでその時に向けたお花をお稽古されたのですが、1人で枝を見立て、生けて、とても綺麗に仕上げられました。
まだまだお稽古の期間で言うと短いですし、まだまだこれからお稽古していただくことが多いですが、今のステップで、これだけの事を習得してくださっていることが本当にうれしく思います。

こういう様子を見ていると、お仕事でも趣味でも、その年数ではなく経験や学びこそが大切だよなぁといつも思うのです。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。