「光風流いけばな展」を半月後に控えて思う、良い作品を生み出すために技術は必要ですが、良い技術を持っているから良い作品を生み出せるという事ではないということ

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

昨日のお昼間は結構な風でしたが、台風を無事にやり過ごしほっとしています。皆様は被害など出ておられませんでしょうか。

今年の光風流いけばな展まで約半月となりました

今年の光風流いけばな展は、9月2日(土)3日(日)にイオンモール加西北条の専門店街通路において開催をするのですが、開催まであと約半月になりました。

 

この案内葉書は、大阪芸術大学デザイン学科2回生の勝森奏月さんによるものになります。

近年、光風流いけばな展で使用する案内葉書のデザインは大阪芸術大学の生徒さんにお願いをさせて頂いており、私の毎年楽しみの1つになっています。
というのも、今の20歳前後の人たちが感じている「いけばな」のイメージを、デザインを通じて知ることが出来ますし、その年その年に設けているいけばな展のテーマをどんな風に表現しようとされるのかを見ているだけでも楽しいからです。

モノづくりに一番大切なのは、「個性」や「世界観」です

いまや世の中は ”AI” を使えば様々なことが出来ます。絵も描く事も出来る文章を書く事も出る。そんな時代になっても”AI”にはできないことが有ります。それは個性を表現するという事です。

個性という言葉で分かりにくければ「世界観」という風に置き換えても良いと思います。先に紹介したお絵かきは一番わかりやすい例になりますが、絵を描く技術はAIが圧倒的に上手です。絵筆を持ったことがない人でもAIを使えば一流アーティストの様な絵を描く事が出来ます。しかし世界観や個性はAIには備わっていないので、AIが描いた絵が魅力的かどうか素敵かどうかの判断をAIはできないのです。
つまりこれまでに贋作を作る作家がいたように、誰かのような真似をし同じもの(同じに見えるもの)を作ることはできるけれども、その人ならではの個性や世界観を生み出す事は不可能だという事なのです。

なのでこれからのモノ作りは、物を作る知識や技術ではなく、その人 ”ならでは” の「世界観」こそが重要になってくるという事だなぁと私は思っています。

その人ならではの世界観は、その人の積み重ねてきたものから生み出される

いけばなの作品もまさに同じことが言えると思います。つまり技術的にすぐれている作品が魅力的なのではなく、その作者が表現しようとしている世界観や好みや主義主張が作品に現れ、見た人が面白いと感じるものが良い作品なのです。
なので良い作品を生み出すために技術は必要ですが、良い技術を持っているから良い作品を生み出すことが出来るという事ではないという事なのです。

ただしここで間違えていけないのは、「その人らしさ=いつも皆さんに魅力的と受け入れられる」という事ではないですし、「その人らしさ=いつも価値あるものとして評価される」という事でもありません。
とはいえ、その人ならではの世界観の無いものが評価されることは絶対にないので、良いいけばな作品を作り出そうとするならば、まずは自分らしさというか「その人ならでは」を愚直に追及しなければならないと思います。

あっ、あとこういう話をすると、人と違う事をすることが「個性」とか「その人らしさ」という風に思われている人がありますが、そんなものは奇をてらっているだけでその人らしさでも個性でもないですので、くれぐれも勘違いをなさいませぬように。

ということで、今年の光風流いけばな展の作品作りもいよいよ追い込み段階に入ります。今年の作品たちにどんな個性が飛び出してくるのか楽しみにしています。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。