追善いけばな展に求められるたった1つのルールが、すなわちこのいけばな展の見どころでもあります
こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。
今日の光風流本部いけばな教室は、来週に開催する「追善いけばな展」のお稽古が中心の1日でした。
追善いけばな展は、いけばなで行なう法事です
「追善いけばな展」というのはその文字が現している通り、死者の冥福(めいふく)を祈って、いけばな展という形で仏事を行うというものになります。
で、誰の追善を行なうのかと言いますと、今年は私ども光風流の先代家元である内藤光風の27回忌にあたるので、その命日にあたる4月19日20日の両日に、追善会を開催することになっているのです。
そしてこの追善いけばな展ですが、実は普段開催しているいけばな展にはない特徴があるので、今日はその事について取り上げたいと思います。
追善いけばな展には1つルールがあります
追善いけばな展は、亡くなられた方の冥福を祈っていけばな作品を展示すると先に書きましたが、その中で1つ守らなければならない決まりがあります。
それは「枯れた素材を用いる」という事です。
いけばなの作品では「枯れたもの」を素材に用いることも珍しくありません。だだしそれは枯れた素材の持つ面白さや特徴を作品の中に取り入れる事によって、表現の幅を広げるという事なのですが、この追善いけばな展において枯れた素材を使うというのは全く意味が違ってきます。
どういう事かというと、植物が枯れるというのは命が終わった状態ですよね。なので追善いけばな展における枯れた素材というのは、亡くなられた方ご自身を表現するために用いるという事なのです。
枯れた素材をなぜ用いるのか
いけばな作品は単なる装飾としての存在にとどまるものではなく、作者の意図や主義主張、あるいは心を表現するものになります。
つまり追善いけばな展において展示される作品は、亡くなられた方への哀悼や偲ぶ心、あるいはこれから未来に向けての決意というような作者の思いを込めて生けると共に、作品で表現するものになります。
なので亡くなられた方の年忌によって枯れた素材の扱い方も変化し、年忌の新しい間は枯れた素材を大きく扱い、年忌が古くなるにつれて枯れた素材を小さく扱う様になります。
これは年忌の新しい間は、あとに残されたものにとって亡くなった方への思いや存在が大きいという事を表現しており、年忌が古くなってくると生々しい悲しみも薄れ、後に続く者たちの存在感が大きくなってきたという事を表現するという事だからです。
このいけばな展の見どころは、枯れた素材の扱いと作者の伝えたい思いです
枯れた素材を用いてそれぞれの作者の思いを形にしたもの、それがすなわち追善いけばな展になります。
なので今回の追善いけばな展の見どころは、それぞれの作品の中でどのように枯れた素材が扱われているか、そしてその作品は何を表現し伝えようとしているのかという点にこそあります。
来週の4月19日(水)20日(木)には、会場でそいうところを見て楽しんで頂く事が出来れば嬉しいなあと思います。
光風流の皆さん、ぜひお越しになってご覧くださいね。
光風流流祖 内藤光風27回忌追善いけばな展
4月19日(水)午後4時~午後9時
4月20日(木)午前10時~午後4時。
会場は光風流本部いけばな教室です。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
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