自分のもつ世界を広げ自己成長したいと思うのならば、まず一番簡単にできるのは行動範囲を広げる事です

こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

先日開催した教室において、距離感という事についてお話をしました。話のキッカケはお稽古にお越しになられている生徒さんが結婚されて今よりも遠隔地に引っ越しされるという事からでした。
人が持つ距離感というのはとても面白く、加えてその人のレベルを如実に表すものだなぁと私は感じており、今日のブログはそんな事について書きたいと思います。

人が感じる距離感に絶対的な物差しは無い

人には距離に対して感じる感覚があります。「遠いなぁ」とか「近い」というアレです。そしてこの感覚には絶対的な物差しはありません。
例えば10キロ離れたところを遠いと感じる人もあれば、200キロ離れていても遠いと思わない人もあります。そして同じ人でも車で移動する50キロは遠く感じないのに、歩いて移動する5キロは遠く感じたりする場合もあります。
なのでこの人が持つ距離に対する感覚には、物差しで測るような絶対的なモノは存在しないという事がお分かりいただけると思います。

けれど人は遠いと思ったり近いと思ったりするというのは何故でしょう。
そこにはその人のレベルが大きく作用しているように私は思うのです。

人は日頃の移動距離や生活環境を元にして、近いとか遠いを判断している

人が遠いとか近いを判断する基準の大元は、日常生活にあります。
例えば日頃、通勤のために50キロ移動している人にとっては、50キロの移動は遠くありません。週に2回ずつ東京大阪間を飛行機移動されている人にとっては東京と大阪は遠くありません。しかしそんな人も日頃歩くという行動が生活の中にない方にとっては5キロ歩くなんてとんでもなく遠いと感じたりされます。
あるいは30年くらい前に兵庫県から和歌山まで車で移動されていた方は、今は高速道路がついて和歌山は近くなったと感じています。

つまり、日頃の自分の生活やこれまでの体験に基づいて、遠いとか近いを感じ判断しているという事が出来るのです。

周辺の人からの影響で、遠い近いの感じ方は変化する

自分の生活やこれまでの体験をもとにして遠いとか近いを感じ判断しているという事について先の段にて書きましたが、実は人が遠い近いを感じ判断するのはこれだけではなくもう1つあります。
それは周囲からの影響です。
つまり、自分の周囲にいる人たちの日頃の移動距離に対する感覚が広い場合には、自分もそのようになりますし、周囲の人の距離感が狭い場合には自分もそのようになるということです。

この感覚を私が一番最初に肌で感じたのは、高校の時でした。
私は生まれ育った神戸の公立の中学校に通い、高校も神戸市内の自宅からバスで15分くらいで通う事が出来る学校に入学しましたので、市外の高校に通う様になった友達とかを見て「遠いところまで」と思っていました。
しかし私が入学した高校は私立でしたので、市外から通っている生徒がとても多く、市外からの通学が特別な事という感覚は無くなりました。

これなどは周囲の環境によって自分の感覚が変わった分かりやすい例だと思います。

遠いとか近いは、その人の成長の度合いに応じて変化してゆきます

私は距離感は、その人の世界観と成長を表すものだと思っています。
日頃の生活が町内で完結している人は、その中での世界観とレベルでしょう。日頃の生活が県内各地に広がっている方は、県レベルの視野と価値観をお持ちの方が多い様に思います。日本中を飛び回っている方は、日本レベルの経験や思考を持たれている方が多い様に思います。

すなわち、自分の視野を広くしたり自分を成長させる一番簡単な方法は、距離感を広くするという事だと思うのです。移動距離が広ければそれに合わせた様々な経験を得る事が出来たり、沢山の人との出会いを得る事が出来るのです。

いけばなの先生は、自分の小さな物差しで遠いと断じない

自分が持つ小さな世界観や物差しで、遠い近いは絶対に断じるべきではないと私は思っています。
なぜなら先生が遠いと断じたらそれ以上に先生自身が成長することはありませんし、それ以上に広い範囲から生徒さんがお稽古に来られることも無くなるのです。

成長の止まった先生に魅力はありません。
自己の研鑽を求めない先生に魅力を感じますか?私は感じません。新しい世界を面白がり出ていこうとせず拒絶する先生に魅力を感じますか?私は感じません。
鳶が鷹を生むという言葉がありますが、そんな事はまず起こりません。なので成長の止まっている先生に学ぶ生徒さんは、必ずどこかの段階でいけばなが楽しくなくなり教室から離れてゆかれます。

生徒さんがこの先生にいけばなを学びたいと思っているのに「遠いから来れないですよね。残念です」なんて言われたら、行きたいと思っていても「あ~、断られた・・・」ってなっちゃいます。
だからこそ先生は、引越して遠くになっちゃうのでお稽古続けられないと思うのではなく、どうやったら続けることが出来るのかを考えその方策をとる事こそが大切なのだと思います。

先生は自分の持つ距離感はまだまだ狭いと思うべきでしょうし、自分の持つ距離感をもっともっと広くするために出来る事を行なう事こそ、自分を魅力的にするために有益な方法だと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。