人は気づかない間に自分の好みを相手に押し付けていることがあるので、いけばなの指導をするときには伝道師とアドバイザーを使い分けるように意識するのが良いと思います
こんばんは、内藤正風です。
いよいよ9月も残り半分となりました。今日はゴソゴソしたり事務をしたり写真撮影の立ち合いをしたりと、忙しくもなく暇でもなくという1日でした。
そんな今日のブログでは、昨日の教室にお稽古に来られている先生とお話をした事について取り上げたいと思います。
人は知らない間に自分の好みを人に押し付けている
私は日頃、生徒さんの指導にあたって意識していることがいくつか有ります。そしてその中の1つに「自分の好みを押し付けない」という事があります。
例えば色使いって好みです。
派手な色遣いが好きな方、シックな色使いが好きな方。あるいは、色数少なくまとめるのが好きな方、色数を沢山使うのが好きな方。どれが正解というものではありません。
ただし好みとは別に、その場に相応しいかどうかという事はあると思います。
お葬式の時にお花を生ける場合があったら、赤色や黄色やを多用して嬉しそうな印象の作品にしてしまってはチョット具合悪いですよね。
この様な事はあるにしても、大半の場合に色使いや材料の取り合わせなどはその人の好みによる部分が大きいです。
こんな風にしていけばなの作品作りに際して、先生だからと言う事で自分の好みの色使いや、自分の好みの材料を生徒さんに押し付けてしまっては絶対に楽しくないでしょうし、先生の顔色をうかがって先生好みのお花を生けるようになってしまってはその人の個性が伸びなくなってしまいます。
なので私は生徒さんにアドバイスをさせて頂くときには、これは私の好みを押し付けているのではないか?生徒さんの作りたいイメージをお手伝いさせていただく事が出来ているか?を常に自問自答しています。
人の好みにまで口出しをするのは、自分に自信のない人
お花でわかりにくければ、服の好みやアクセサリーの趣味なんて1人1人違っているものですよね。
なのに他の人の趣味が、自分の好みじゃないからと言って、どうのこうのとワーワー言っても、「そんな事ほっといてよ!!」って話じゃないですか。
まあ人の服装やアクセサリーを殊更に取り上げて、雑談の中であれがどうとかこうとか言っている人は、自分に自信がなく、自分に自信がないから許容範囲も狭く、他の人の自分と違うところを認める事が出来ないので、その違うところを攻撃する事で自分の優位性を強調したいだけの人がほとんどだと私は思っています。
そしてこれはいけばなにおいても同じで、自信の無い先生に限って自分の好みを押し付けようとしたり自分の得意な土俵に生徒さんを引き入れようとするのです。
先生は自分のミニチュアを育てるのではなく、生徒さんの個性を伸ばしてあげることが大切だと思います
指導者の立場にある先生には、今自分が言おうとしている事は正しく生徒さんを育てるためのアドバイスなのか、あるいは自分の好みを押し付けているだけなのかを、自らでしっかりと考えて判断しなければならないと思います。
先生のミニチュアを作り上げても仕方ないんです。だって100%先生の真似が出来たとしても、しょせん先生と同じにしかなれないんですから。
先生を超える様な生徒さんを育てようと思うならば、基本をしっかりと学び、自分の好みや個性を思う存分発揮することが出来る様にすることが必要だと思うのです。
日頃のお稽古の時には生徒さんを導く伝道師、そしていけばな作品を作る時にはアドバイザーとして生徒さんと向き合う事が大切だと思います。
という事で今日は、自分自身への自戒も込めたブログになりました。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
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