いけばな展では作品を展示するので「展示会」だと思っている方が多いですが、実はいけばな展は「通信手段」なのです

こんにちは、内藤正風です。

昨日までシルバーウイークだったのですね。今日起きてニュースを見ていて気付きました。私は土日祝祭日に関係のない生活をしていますもので、こんなもんです。(笑)

秋はいけばな展のシーズンです

いけばなの世界では「春」と「秋」がいけばな展のシーズンになります。
とはいえ今年は、春のいけばな展のシーズンは4月下旬以降の緊急事態宣言で半分くらいが中止、秋のいけばな展のシーズンは8月~9月までの緊急事態宣言で全滅とはなっていませんが3分の2くらいは中止や延期になってしまっています。

現在発出されている緊急事態宣言が10月からどうなってゆくのかまだわかりませんが、まあ、10月からは何とかなるのかなぁ。。。なんて思ったりはしています。

いけばな展は3度おいしい

私は「いけばな展」って、企画をし準備をしている段階と、作品を作り上げている段階と、生けた後から会期中との3回の楽しみがあると思っています。

いけばな展はまず企画し準備することからスタートしますが、この段階はウキウキワクワクが止まらないんです。
だってどんなことをしようかと考えていると企画が際限なく浮かんできて、おバカな妄想で頭がいっぱいになってニヤニヤしちゃいます。
それから皆さんの作品作りと役員はじめ出瓶者の皆さんによるいけばな展の運営と言う側面がまた楽しいのです。
今までできなかった生け方がお稽古を積み重ねることによって出来るようになっていてくださったり、作品の完成度が準備期間よりも一段も二段も向上したり、いけばな展の運営を通じて役員の皆さんが色々な学びを得てくださっていたり、他にも仲間同士の絆を深く強くして下さったりしている様子をみていて、皆さんの活躍や成長が本当に嬉しいですし心強いですし、頼もしいです。

そして次には自分の作品作りを行なうのですが、自分の作品作りの時はいけばなを生ける人と言うか作家というか、そういう感覚で満たされていて、作品を作り上げる事のみに集中し焦点が当たっています。
なので一本の枝、一輪の花、一枚の葉を見て、イメージを具現化してゆく中で、楽しくて楽しくてたまりません。
いつもお花を生けている時にはすごく集中しているので、自分ではわからないですがニヤニヤしているかもしれませんし、鼻歌交じりかもしれません(笑)
これはある意味でいうと「内向きの楽しさ」というか「自己の内面に向かった楽しさ」なのです。

「いけばな展」が始まったら、会場に来てくださる皆さんとお出会いさせて頂きお話しさせて頂くのが本当にうれしいです。
いつも出会っている友人でも、お花の作品を前にして話をしていると日頃は出てこない話題がポンポン飛び出してきてとても面白いです。
また逆に、日頃ご無沙汰している方とも「いけばな展」と言う事でお出会いさせていただく事も出来て、これも本当に楽しいのです。
いうなれば、皆さんと一緒に楽しむという「外向きの楽しさ」というか「身の回りの全ての皆さんと一緒に楽しむ事で、倍増される楽しさ」なのです。

いけばな展は「展示会」だと考えずに「通信手段」だと考えたほうが良い

いけばな展と聞くと大半の方が「展示会」だと思われると思いますが、しかしこれは大間違いです。

展示会という事はそこに作品を展示することで目的達成になってしまいます。確かに作品を売るとかという性質のモノでしたら、誰が来てくださったかではなく、何点売れたかで判断することもできるでしょうから、それもありかもしれません。
しかし「いけばな展」は展示した作品を販売するわけではありませんので、作品を展示することが目的であってはいけないと私は常々考えています。

ではいけばな展は何であるべきなのかというと、私は「通信手段」であるべきだと考えています。
その理由は大きく分けて2つあります。

まずその1つは、色んな方と出会い、話し、そしてそこから新しい企画や話が広がったり、新しい出会いがあったり、久しぶりの出会いを懐かしんだり、可能性が広がったりすることです。
日頃中々お出会いさせて頂くことが出来ないような方も、いけばな展のご案内を差し上げるとわざわざご来場くださったりするのですから、その意味で考えるといけばな展は「通信手段」以外の何物でもないと思います。

そしてもう1つは、作品を色々な媒体で発信したり残したりすることが出来るという事です。
今の世はSNSをはじめとして、全ての人が放送局になることが出来ます。これはデジタルという事だけではなく写真というアナログな媒体であっても同じです。手帳などに写真を挟んでおいてお友達に見てもらったり、光風流のいけばな展でしたら毎回作品写真集にしていますので、自分の作品作りで花材の提供をしてくださった方にお礼とご報告を兼ねて作品写真集をプレゼントしたり、地域の名士の方に作品写真集をプレゼントして自分の活動をお知らせしたりするなどと、あらゆる拡散をすることが出来るのですから、これも「通信手段」であるという事が出来ると思います。

あっ、ここで間違いがあってはいけないので付け加えておきますが、作品がどうでもいいとは言っていませんよ。
作品は心を込めて作り上げ自分の分身だという事が出来る、自分にとっての唯一無二の存在に仕上げておかなければならないのは言うまでもありません。
通信手段というからには、いけばな作品がその大元であることは間違いないのです。
だって、どんなに良いお店でも不味い食堂には誰も行きませんよね。どんなに優しくても施術のへたくそな整体師には体は触ってもらいたくありません。どんなに安くても綺麗にならないクリーニング屋に洗濯は出したくないですよね。

思い込みから解き放ち、本質を正しく理解することこそが、新しい扉を開く第一歩です

いけばな展は、作品を展示しているという意味でいうと「展示会」です。しかしいけばな展で必要なのは「展示会」ではなく「通信手段」としての取り組みなのです。

思い込みを解き放ち、本質を正しく理解することこそが、自分の可能性を開く第一歩になります。
まずは思い込みから無くしてみませんか。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。