なぜ「ナンテン(南天)」がお正月やおめでたい時に用いられるのか、その理由には漢方との関わりもあると私は思うのです

こんばんは、内藤正風です。
今週は各地の教室が「稽古納め」となり、今日は神戸の教室が年内最後の教室となりました。

稽古納めは、ほとんどの教室において正月花を生けて頂くのですが、そんな中で必ずと言ってもよいほど材料の中に入っている「ナンテン(南天)」について今日は取り上げたいと思います。

おめでたい席に相応しい材料「ナンテン」

「ナンテン」は、おめでたい機会に生けるお花には、必ずと言ってよいくらいに用いられる材料です。

先日の「ひょうご文化交流のつどい」の舞台花でも”ナンテン”を主材に使いました。

その理由としては、「ナンテン」は古来より「難(ナン)を福に転(テン)じる」という事からお祝い事には相応しい花材とされているからなのです。
まあ一言で言うならば、”言葉遊び”それも”親父のダジャレ”的な事だとは思うのですが、しかし何の意味もなく言葉遊びがなされたのではなく、ナンテン自体におめでたい時に用いるに相応しい意味があってこのようになってきたと私は思っています。

ナンテンは元々”漢方”でもあります

ナンテンって聞いて「ナンテンのど飴」とか「お赤飯に添えられている葉」などを連想される方も多いと思いますが、実はナンテンは、”実”、”葉”、”茎”、”根”などその全てに薬効があると言われている、植物界のスーパースターなんです。

「実(み)」は、百日ぜきやぜんそくなどをはじめとする「咳止め」に効果があるとされています。なので「ナンテンのど飴」という商品にもなっているんです。

「葉」は、解毒の力があると考えられています。
なので赤飯の上にナンテンの葉が置かれていたりするのですが、毒消しとしての意味があり葉を置くことで殺菌効果をあげているのです。

その他に「茎」は咳止めや、強壮剤に、「根」は頭痛、黄疸、リューマチ、疲労筋肉痛などの痛み止めに効果があるとされていますし、ナンテンの実や葉を刻んでお茶代わりに飲むと、咳、中風、疲労回復、強壮に効果があるとも言われています。

こんな風に様々な症状に聞くという事から、「難を福に転じる」という発想にも結び付いたのだろうなと思います。

古来より私たちの生活に近いところで使われてきたナンテン

古くから庭に植えて栽培され、私たちの生活ととても近いところで関わりのあるナンテンですが、元々は中国から薬用、観賞用として伝えられ、栽培されているうちに各地に広がっていったのではないかと言われています。

ナンテンってその植物としての姿もとてもきれいですので、鉢植とかにしてお部屋で飾って楽しまれても良いのではないかと、私は思います。

是非一家に1つ、いかがでしょうか?(笑)

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。