花を生ける時間が、自分を育ててくれる | いけばなで学ぶ「思い通りにならない」ことの意味
ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。
一昨日のブログ「便利な時代だからこそ、いけばなを | 自分で考え、試行錯誤する力を育てる」を書きながら、「花を生ける時間が私に教えてくれた事」という事について改めて考える機会になったので、今日はそんな事についてブログを書きたいと思います。
花は、思い通りにはなってくれない
いけばなをしていると、花や枝が自分の思い通りにならないことが沢山あります。というかそんな事の方が多いです。「ここに入れたい」と思っても、花の向きが違う。「この形にしたい」と思っても、枝の表情がそれを許してくれない。そんな時に自分の思いを押し通そうとしても、なかなか上手くいきません。
こんな場合にするべき事はたった一つ、花をよく見る。枝の曲がり方を見る。葉の付き方を見る。その花材が持っている姿を見る。そして「これを生かして生けたらどうなるか」を考える。
そうすると、最初に自分が考えていた形とは全く違う作品が出来上がっていくこともあるのです。
すぐに答えが出なくてもいい
先日の私のブログでも書いた様に、今の時代は分からないことがあれば、すぐに答えを調べることができます。でも、花を生けている時には、そうはいきません。「この枝はどうしたら一番良くなるんだろう」そんなことを考えながら、実際に手を動かしてみるしかありません。
やってみる。違う。。もう一度やってみる。やっぱり違う。。。また考える。そんな事を繰り返しているうちに、「あっ、こういうことかな」と、なんとなく一条の光が見えてくるのです。
私は、この時間がとても大切な存在だと思うのです。答えをすぐに教えてもらうのではなく、自分で考えて、試して、失敗して、また考える。その過程そのものが、自分を育ててくれる時間に他ならないと私は思うのです。
花を生けていると、自分のことも見えてくる
そして面白いのは、花を生けていると、自分自身のことまで段々と見えてくるというか、お花を生けるという行為を通じて、様々な事を学ぶ機会になったり気づかせてくれたりする事です。
早く仕上げようとして焦っている時には、作品にもその焦りが出る。「こうしなければ」と思い込みすぎている時には、花材の姿が見えなくなる。反対に少し力を抜いて、そこにある材料の良いところも良くないところも全てをマルっと受け入れてからもう一度見てみると、今まで気が付かなかった表情が見えてきたり、アイデアが浮かんできたりします。
つまり私たちはお花を生けるという行為を通じて、無理やりに自分の思い通りにしようとしても、労力ばかりがかかって良い結果にならないとか、自分が良いと思っていたものが、実はどうでも良いもので、今一だと思っていたところこそが本当に良いところだったりするという様な、ある種の「人生訓的な学び」や、植物を素材にしていますので、「天地の理」に逆らっても良い結果を生み出す事はできないという様な「真理」などを、実際に体験する事を通じて、学ぶと共に気付かされているのです。
花を生ける時間を大切にしたい
私は、いけばなには「花を綺麗に生ける」ということだけではなく、それ以上のものがあると思っています。
花や枝や葉をよく見る。考える。手を動かす。上手くいかなければ、また考える。そして、時には自分の思いを手放して、花そのものが持っている姿を受け入れてみる。
そんなことを繰り返していると、技術だけではなく、物事を見る目や、考える力、待つこと、やり直すこと、忍耐力など、いろんなものが少しずつ、そして知らず知らずのうちに身についていくのです。
つまり「いけばな」は、人が生きていくうえで大切なことを、花を生けるという行為や花と向き合う時間を通じて静かに教えてくれているのであり、私達はその中から自ら何かに気付いてゆく時間でもあると言えるのです。
そしてだからこそ私は、花を生ける時間が大好きだし、そんな体験を皆さんにお薦めしたいと強く思うのです。
内藤正風PROFILE

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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。




