いけばなは「実物だけが本物」ではない | 写真だからこそ伝わるものもある
ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。
先日、光風流のホームページに掲載する写真撮影に立ち会ってきました。
その様な中、いけばな作品の撮影をしているところを見ながら、改めて思ったことがあります。それは、いけばなの作品には、大きく分けて二つの楽しみ方があるということです。
一つは、「作品そのものを見て楽しむ」というもの。そしてもう一つは、「写真や動画などにして楽しむ」というものです。
今日はそんなことについて、徒然にブログを書き進めたいと思います。
実物を見なければ分からないものがある
いけばなは、実際に見ていただくのが何より一番です。それは、作品の大きさであったり、花材の素材感であったり、匂いであったりと、さまざまな要素が有ります。
そんな中で実物でなければ絶対に持ちえない要素として、その作品が置かれている空間との関係を挙げることが出来ると思います。
写真では作品を切り取ることができますが、実際の作品は、作品だけで存在しているわけではありません。
床の間に置かれているのか。玄関に置かれているのか。テーブルの上に置かれているのか。あるいは広い会場で玄関花や舞台花として置かれているのか。その場所、その空間、その周りにあるものとの関係の中で作品は成立しています。
なので実際の作品の魅力を、写真だけで全部を伝えることは不可能なのです。
写真だからこそ出来ることもある
と、このように書くと「じゃあ、写真は実物より劣っているのか」という風に思われる方が有るかもしれませんが、そういう話でもないんですよね。
写真には写真の役割があります。例を挙げれば、その場に来ることが出来ない人にも、作品を見てもらうことができます。そして、時間が経ってからでも見ることができます。
今回撮影している写真も、光風流のホームページに掲載されることで、これから先、いろんな方の目に触れることが可能になります。
そう考えると、作品が生けられているその瞬間だけで終わるのではなく、写真という形になって、そこからまた別の人や時間に作品が届いてゆくようになるのであり、これは、実物にはない写真の役割だという事が出来ます。
リアルとオンラインに良し悪しは無い
この様に考えている中で、私は以前のブログでも取り上げた「リアルとオンライン」という事について思い出しました。
コロナ禍になったとき、光風流でも会議やお稽古、講習会などをオンラインで行うようになりました。
それまでは、実際に集まって行うことが当たり前でしたから、最初は「こんなことが出来るのかな」と光風流の皆さん全員が感じておられたと思います。
ところが実際にやってみると、オンラインだからこそ出来ることがありました。遠く離れたところにいる人とつながることができる。移動しなくても参加できる。それまでなら時間や距離の関係で難しかったことが出来るようになった。やってみたからこそ分かるって、まさにこういう事だと思いました。
とは言え、オンラインだけですべてが出来るわけではありません。
実際に会って、同じ場所で花を見て、同じ空気の中で学ぶことにも大きな意味があります。だから私は、リアルとオンラインのどちらが良いとか、どちらが正しいという話ではないと思っています。
それぞれに出来ることが違うから、それぞれの良さを生かせば良い
今回の「実物と写真」も、それと同じなんじゃないかなと思います。「どちらが本物か」「どちらが正しいか」ではなく、それぞれに役割があるのです。
いけばなの作品そのものを見る。写真になった作品を見る。動画になった作品を見る。どれも同じではありません。でも、同じである必要もないんですよね。
実物には実物の役割がある。写真には写真の役割がある。動画には動画の役割がある。
そして、それぞれを組み合わせることで、一つだけでは出来なかったことが可能になる。
私は、これからのいけばなには、こういう考え方が大切になってくると思っています。
伝統的ないけばなを大切にすることと、新しいものを取り入れることのそのどちらもが必要なのです。「昔からこうしてきたから、これが正しい。」「新しいもののほうが優れている。」そんなふうに、どちらか一方に決めてしまう必要はありません。
大切なのは、「そのものが持っている良さや役割を見つけて、それを生かしていくこと」なんじゃないでしょうか。
目の前にある作品を見て楽しんでいただく。そして、その作品を写真や動画を通して、まだ見ぬ人にも知っていただく。そうやって、いけばなの楽しみ方や伝わり方が広がっていけば、それもまた、これからのいけばなの一つの形なのだと思います。
どちらが上で、どちらが下ということではありません。それぞれの役割を知って、それぞれを生かしていく。そんな柔軟な考え方が出来るのも、いけばなが持っている懐の深さなのだと思うのです。
光風流のホームページに掲載する写真の撮影に立ち会いながら、そんなことを改めて考える機会になりました。
内藤正風PROFILE

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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。





