生徒さんにより良い成長を望むのならば、良い環境を提供する事によって良い思考を身に付けて差し上げることが大切です

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

今日は光風流が発行している印刷物に掲載する、作品写真の撮影に立ち会ってきました。写真撮影って普段のいけばな作品とは違い一瞬を切り取る作品なので、一味違う緊張感があり私は好きな時間の一つになります。

さて、そんな中でふと思ったのですが、これは ”いけばな” だけに限られたことではありませんが、生徒さんをうまく育てておられる先生と、なかなか生徒さんが育ちにくい先生がおられるのですが、その違いはいったい何だろうかという事について考えてみると、私なりに「あ~こういう事かなぁ」という一つの答えというか仮説があります。
それは自分の身の回りにある機会を、適切に生かすことが出来ているかそうでないかという事なんだと思います。

人は環境が育てる

私は人は環境が育てると思っています。良い環境に身を置くことが出来れば、良い成長をします。なので悪い環境に身を置いてしまったら良い成長は望めなくなってしまいます。
周りにいる人が1流の人たちばかりならば、1流の行動と1流の思考が身につきます。逆に、周りにいる人がぐうたらだったり不平不満ばかり言っていたりしている環境だと、そういう行動と思考が身についてしまいます。
これは怖いですよ。。だって知らず知らずのうちに良い思考が身につき良い習慣が備わるか、悪習慣や悪思考が備わってしまうかって事なのですから。

思考は人の習慣や行動を大きく左右します。しかしこの思考という存在は、一朝一夕で身につくものではなく数か月とか数年の積み重ねが必要になるので、明日から良い思考を出来る様になろう!良い行動をしよう!!と思ってもなかなか出来るものではありません。
そんな良い思考の土台となるのは「環境」と「影響」なのは間違いのない事で、良い思考が出来るようにならなければと四苦八苦しなくても、良い環境にいたり良い思考をしている人からの影響を受けているだけで、知らず知らずのうちに良いものを身に付けることが出来るのですから、「環境」と「影響」の力はとても大きいと私は思っています。

身の周りで行われている行事やいけばな展は、成長の機会です

いけばなを行なっていると ”いけばな展” に作品展示のお声が掛かったり、研修やイベントや講習会などのお誘いをいただいたりするのは珍しいことではありません。そんな中、こういう機会をどのように捉えるかによって、良い環境や良い影響を提供することが出来るかどうかが変わってくると思うのです。

いけばな展を例に挙げて考えてみたいと思います。いけばな展は私たちいけばなを行なうものにとって大切な発表の機会になります。お花を生けるという事ならば、教室のお稽古やお家でお花を飾るなど様々な機会があります。しかしこれは発表の機会というよりも、お稽古の場であったり生けるという事を主に楽しんでいる場だという事が出来ます。
ところがいけばな展では ”誰かに見ていただく” という事が前提ですし、自分の今の知識や技術をフル動員して自らの分身といっても過言ではない作品を生み出す機会になります。
ハッキリ言って日頃のお稽古は大切ですが、発表の機会がないお稽古のためのお稽古は、段々と気持ちがダレていってしまいますしナーナーな感じに陥りやすくなってしまいます。

なのでいけばな展のときに、生徒さんが自分がしたいことにチャレンジし、そのチャレンジをアドバイスやサポートして差し上げることができる先生こそ、私は良い先生だと思います。
そして良い先生は、いけばな展の生け込みに生徒さんを伴うことも忘れません。お手伝いというと下働きのように思われる方がおられますが、いけばな展におけるお手伝いは学びと経験の場だと私は断言することができます

機会は均等に与えられているが、それを生かすも殺すも先生次第です

私が何故いけばな展におけるお手伝いは学びと経験の場だと断言できるのかというと、その理由は3つあります。

まず第一に、先生が作品と真剣に向き合っておられる現場を、その間近で見て体験することができるという事。そしてお手伝いを通じて、先生の枝の見立てや活かし方を実際に退官することができるという事。加えて第三に、いけばな展の生け込みの会場に行って生け込みの空気感を体験したり、他の方のしていることを見て学ぶ事が出来るますので、この三点だけでも他ではできない体験と学びを得ることができるのです。

負担と捉えるのか好機と捉えるのかは思考次第

いけばな展を単なる負担としてとらえ、そのように生徒さんに指導するのも一回のいけばな展の体験です。逆に、いけばな展を通じてどれだけ沢山の学びや体験を生徒さんにさせて差し上げ事が出来る機会にするかと考えて、いけばな展に向き合う指導をするのも一回のいけばな展です。
そして、このそれぞれの向き合い方によって、どちらがより沢山の体験や学びの機会にすることができるのかは、後者なのは言うまでもありません。

良い生徒さんが育つためには良い環境を作ることが大切であり、良い思考を身に付けさせて差し上げることが何よりも大切なのです。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。