生徒さんが育たない先生と育つ先生にはハッキリとした共通する原因があります。それは先生の身勝手なエゴで生徒さんの楽しみを奪ってしまっているか否かです

こんにちは、内藤正風です。

昨日は朝から終日バタバタでアッという間の1日でしたが、その分今日は、昨日できなかった事務をこなしたり今日の仕事を行なったりしています。

いけばな展は単に作品を展示すれば良い機会ではない

明日と明後日の両日、「光風流西播支部創立55周年記念いけばな展」を兵庫県神崎郡福崎町にある「応聖寺」にて開催いたします。

このいけばな展に作品を展示される皆さんは、作品作りの最後の追い込みに入られている事と思います。

ところで「いけばな展」と聞くとほとんどの方が ”作品展示をする機会” と考えられると思うのですが、実はそんな風に考えるからいけばな展を有効に生かす事が出来なるのです。
ではいけばな展はどういう機会なのかというと、「体験と学びを得る機会」でなければならないと私は考えています。

先生が生徒さんの楽しみを奪ってはならない

いけばな展というと、お弟子さんの作品を少しでも良いものになるように手をかけすぎる先生がおられます。
気持ちは分かります。折角お稽古されているのですから少しでも良い作品を展示することが出来る様にしてあげたいというのは。
しかし、だからと言って生け込みの時に先生が1から10まで手をかけたりしたのでは、生徒さんのやる気を無くさせてしまいますよね。だって、生け込みの時に先生がどうせ触ってくれるから。。。。って気持ちになってしまうのですから。

なかには「私の持っているこの器を使って、材料はうちの庭の木を使って、生け方はこんな風にしなさい」なんて、生徒さんのヤル気をまるっきり無くさせていくような事をする先生もおられます。
こういう先生に私は1つハッキリという事が出来ます。
その行動は生徒さんのヤル気を無くさせ、生徒さん潰しを自らでしてしまっているのです。
そしてもう1つ付け加えると、こういう先生は生徒さんがドンドン辞めていかれてしまって、長く指導者としていけばなに携わっておられても活躍をされている生徒さんが居ないという結果が出ているという事です。

なのでここでハッキリといえることが有ります。それは、いけばな展の時に先生は生徒さんの作品作りについてかまうなという事です。

良かれと思った事が逆効果になる事が世の中にはたくさんあります

ここで1つ付け加えたいのは、そういう生徒さんの楽しみを奪ってしまっている先生の全てが「良かれと思って行なっている」ということなのです。
世の中では悪気が無いんだから仕方がないという考え方がありますが、実はこれほどタチの悪いものはありません。

だって自分がいけない事や悪い事をしているという ”自覚すらない” ってことなのですから、そんな原因でいけばなの本当の楽しみを奪われてしまい辞めていかれた人たちにとっては、たまったものではありませんよね。

いけばな展はその人にいけばなの楽しみを満喫していただく機会なのです。
なのに先生の持っている器を貸してあげるなんて言われること自体が、生徒さんにとってはハッキリ言って迷惑なんです。だって、先生と生徒さんでは好みも違うのに先生からこれを貸してあげるなんて言われたら断れないじゃないですか。今風に言うなら生徒のためという自分勝手な理論に基づくパワハラです。

そして先生からいつも器を借りるような事をしていたら自分の器が増えないです。という事は、日頃お家でお花を生けるときに器を色々使い分けたりすることによる楽しみも奪ってしまっているのです。
加えて器を持っていないのだから、手入れの仕方すらも学ばずに済んでしまうようになるのです。

お解りいただけたでしょうか。いけばな展の時に生徒さんの作品について自分の構想を言ったり、器や敷板をはじめとする道具を貸したり、花材を段取りしてあげたりしている先生は、自分で生徒さんを殺しているのです。

いけばな展で良い作品を展示したいのならば、日頃のお稽古を大切に

と、この様に書くと必ずこういう意見を言われる方があると思います。「じゃあ生徒さんを放っておけという事なのか」と。
なので明確にお答えさせて頂こうと思います。それは「生徒さんに手をかけるところを間違えている」という事です。

いけばな展という機会は、その生徒さんに楽しんで頂いたり経験を積み重ねて頂く機会なのです。ですからそこで1から10まで手をかけるのではなく、良く見守ると共に必要に応じてアドバイスをしてあげてもらいたいのです。
いけばな展での作品作りは、自分の思う様にして頂く機会です。しかし経験が未熟だったりした場合には困ることもありますから、アドバイスが必要な場合もあります。
なのでいけばな展の時には指導者というよりもアドバイザーとして、生徒さんに寄り添う存在にならなければいけないのです。

未熟で下手なのは仕方ありません。だってそれは日頃のお稽古の成果なのですから。お稽古をシッカリとされている人が上手で、お稽古をさぼり気味の方がそれなりなのは当然のことです。
良い生徒さんを育てたいと思うのならば、そんな分かり切った本質を実践すればよいだけです。生徒さんを育てるのも潰しちゃうのも先生次第ということですね。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。