私が50歳を過ぎてから思った、人生を豊かに過ごすための「人生三分の計」という考え方

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

今日は終日雑務に追われる1日です。
もうこの雑務とか事務とかって、ほんと私は苦手なんです。とにかく同じことを繰り返して行わなければならない、同じ場所でとにかくじっとしていなければならない、こういう類の事は子供の頃から最高級に苦手です。
亡き母親に1000円を目の前に置かれて「5分でいいからじっと座ってたらこれあげる」って言われ、何度、いや何十度挑戦したことか。ええ、一度たりとも成功できたことはありません。(笑)
そんな私が朝から晩まで雑務や事務をしなければならないだなんて、苦行を超えて荒行でしかありません。

人生は30年ごとの3つのステップで構成されている

私たちいけばなを行っている者には「定年」はありません。ってか自営業の皆さんや会社を経営なさっている皆さんはじめ、ご自分で何かをなさっている方には「定年」って関係ありません。
私の周りにも70歳を超えて、あるいは80歳になった今も現役でお仕事をされている先輩がたくさんおられます。

私が若いころには ”人生80年” と言われていましたが、今や ”人生100年” と言われる時代になっています。まあ100歳は少し大げさだとしても、90歳前後の方はとてもたくさんおられます。
そんな中で私は50歳を超えた頃から、「人生って30年間ごとの3つのステップで構成されている」と思うようになりました。

人生第1のステップは、30歳までの ”学び” の期間

まず第1のステップは、生まれてから30歳までの ”学び” の期間です。
人は生まれてからハイハイをし立って歩くようになり、言葉を話すようになって、学校に行って色々なことを学びます。そして学業終了後は社会に出て、色々なことを見たり聞いたり経験したりしながら多くのことを学んでゆきます。

一般に ”働き始めたら一人前” という考え方もありますが、1人の戦力として考えたときに会社において戦力として活躍することができるようになるのは、一通りの経験などを積み重ねた30歳前後くらいからではないかと思うので、私はこのくらいまでの期間は人生における学びの期間だと思っています。

人生第2のステップは、30歳から60歳までの ”人のために働く” 期間

そして次にやってくるのが、30歳から60歳までの ”人のために働く” 期間です。
どういう事かというと、会社で戦力として活躍できるようになったなら、周りの同僚と力を合わせ、部下を育成し、先輩を盛り立てることができるようになり、この時期は自分のために働いているというよりは ”人のために働く” ようになります。
そして結婚も30歳前後(以降)にされる方が多く、結婚後は ”奥様のため”、”ご主人のため”、”子供のため”、”ご両親のため”に、人生の時間を使うようになります。

なので私はこの30歳から60歳までは ”人のために働く期間” なのかなぁと思っています。

人生最後のステップは、”自分のために過ごす” 期間

そして最後にやってくるのが60歳から90歳(それ以上)までの”自分のために過ごす”期間です。
一般的に60歳といえば会社を定年になりますし、子供たちもそれぞれに家族を持つようになってきます。そうなると、自分のための時間を過ごすことができるようになります。
これまでに仕事や家庭で時間を使わなければならなくて、もっともっとしたいと思っても思うように出来なかった趣味、行きたいと思っても行くことができなかった旅行、子供優先でなかなか持つことができなかった夫婦の時間、若い時には解らなかった日本文化のすばらしさを楽しむ、などなど、これまでの豊かな人生経験をもとにして自分の人生を楽しみつくす期間になると思うのです。
とはいえここで勘違いしていただきたくないのは、”自分のため” と言いながら自分さえよければそれでよいという利己的な考えではないという事です。自分のために過ごしながら、誰かのお役には立ち続けるようにすることが大切だと思っています。

そしてこのステップになられた方にこそ、私はいけばなほど相応しいものは無いと思っています。
お花を生けるという事を楽しみ自己の知識やスキルアップを行う。いけばなを一緒に行なっているお弟子さんや仲間との絆や友情を深め、未来への希望となる後継者や後輩を育てる。いけばなの研修を通じて、日本各地だけにとどまらず世界各地に出かけて見分を深めたり広めたりする。自分が生けたお花をお家に飾ることで会話のもとになり、ご主人や奥様との時間を楽しむ。いけばなを通じて様々な日本文化に触れ楽しむ。
どうでしょう、こんなに素晴らしいものは無いと思います。

諸葛亮孔明の ”天下三分の計” になぞらえて「人生三分の計」

私自身、還暦を超えて、終わりが他人ごとではなく自分の事として強く感じるようになってきました。人は1年に1歳ずつ年を重ね、生まれた瞬間から老い(死)に向かっているのは分かっている事なのに、若い時にはそんなこと全く意識から消えちゃっています。しかし自分自身が年を重ねてくると、こんな分かり切ったことに今更ながらに気付くのです。

ま、50歳を過ぎてからそんな事を思ったのでは遅いのかもしれませんが、「人の一生はこんな3つのステップで考えることができるのかなぁ」という事を思うようになったのです。
そんな中で私は三国志が好きで、時々思い出したように本を読み返すことがあるのですが、その中に出てくる諸葛亮孔明の ”天下三分の計” になぞらえて、この30年×3の考えを「人生三分の計」とでも言ったら面白いなぁなんて思い名付けてみました。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。